第4話 再~kaikou~

 僕――星井照ほしいてるはごく普通の高校生、と言えたらどれだけ良いか。

 4日前のあの日、僕はある刀と運命的な出会いを果たした。

 その刀と共に街や学校で暴れる怪人と戦っている。

 だから普通の高校生とはちょっと違う。

「照、なんか浮かない顔してるな」

 僕の友人の東が話しかけてくる。

「いや、哀のやつ元気かなって」

「お前まだ引きずってるのか?」

 哀――星河哀せいがあいは俺の元カノでよくわからない理由でフラれてしまった。

「しょうがないだろ?大事だったんだから」

「でもよぉ、あいつ結局なんでフったんだ?」

「さぁ?あいつにも何か事情があったんだろ」

「照、お前別れる時にきちんと聞かなかったのか?」

「そん時は別れるって言われて相当ショックだったんだよ」

「だいたい、あの悔しそうな…悲しそうな顔が頭から離れないんだよ」

「人に惚れるってのは怖いねぇ」

「東、お前は気をつけろよ?」

「わかってるよ」

「まぁ俺はモテないがな」

 そう、この東雷豪という男、何故かモテないのである。

 優しいしスポーツはできるは勉強もできるわ顔をイケメンで歌も上手いと来た。

 なんでモテないのか不思議である。

「なんでお前モテないんだろうなぁ」

「うるせえ!一人に好かれてりゃいいだろ!」

「…まさかお前!」

「そうだよ…」

「よっしゃあ!お前にもついに春が来たか!ね

「うるさい!声の音量下げろ」

「そりゃ無理って話よ!」

 なんてことを話してると

「どうしました?」

 と最近転校してきた藤野天狐さんが話しかけてきた。

「いや、なんでもないよ」

「えぇ!気になります!」

「大したことじゃないから天狐は気にしなくていいよ!」

「教えてくださいよ!」

 ずっと気まずそうにしている東。

「東お前!」

「なんだよその顔!」

「そっかそっか…ちょっとトイレ行ってくるわ」

「あっお前!」

 僕は廊下へと逃げていく

「いやぁあれは邪魔するのが野暮ってやつよな」

「あいつにもそういう人ができたかぁ!」

「星井、妙にテンション上がってるな」

「玲!」

 叢雲玲、もう一人の転校生。

 その正体は僕と融合して怪人と戦った刀そのものだった。

「どうした?」

「お前にゃわからんよ」

「当ててやろう」

「どうせ恋愛だろ」

「…お前から恋愛って言葉が出るかぁ」

「私だって恋愛はするんだぞ」

「めっちゃ意外だわ」

「まぁここ最近はいないけど」

「なぁお前って何歳なん?」

「ピッチピチの17歳だゾ☆!」

「…そっか」

「おい、哀れみの目を向けるのはやめないか」

「本当に17だからな!」

「ほんとは?」

「…忘れた」

「でも確か17なはず」

「そういうことにしよう、これは闇が深そうだ」

「それよりも玲、今日の特訓は」

「一旦休憩だな」

「なんで?」

「星井、お前戦いすぎなんだよ」

「最近忙しいことたくさんあっただろ?だから一旦休め」

「わかったよ」

 僕は渋々了承して、教室へと帰っていく。

 すると

「だよな!天狐」

「そうですよ!東さん!」

 めっちゃ仲良くなってる…僕いらんやんか。







 そうして学校生活もすぎ、放課後になる。

「戦いがないって平和だなぁ」

 まぁそれを物足りないように感じてしまう僕もいるのだけど。

「やっぱたまには休むのもいいなぁ」

 藤野さんと東は意気投合したらしく秋葉にいくらしい。

「よかったぁ」

「一人は寂しいけど」

 そう呟いてると

「――じゃあ話し相手になってあげましょうか?」

「え?」

 声がした上を見ると

「お前はぁ!」

「久しぶりね、元気してた?」

「てめぇ!どの面下げてきやがった!」

「あらあら…あの時はあんなに優しかったのに」

「だいたい何故今来たんだ!」

「――星河哀!」

 そう、空から降りながら話しかけてきたのは元カノの哀だった。

 俺は元気そうで良かったという安堵よりも怒りが強くなっていた。

「お前…その後ろの女は誰だ」

 だって、怪人たちの雰囲気に似ている少女がいたからだ。

「スターちゃん、自己紹介できるかしら?」

『言葉が通じるのは確認済みですので』

『私はスター・オブザ・ラブ』

『哀様の忠実なる僕です』

「哀!まさかお前が!」

「もし怪人たちを送り込んだと言ったら?」

「お前を許さない!」

「こい!零!」

 零を呼び叫んでみる。

 すると

≪よっしゃあ!≫

≪ぶちのめしてやろうぜ!≫

「我が名のもとにおいて、その力を開放せよ!」

「――神剣・零!」

≪融合・承認!≫

≪フェーズ・1!≫

 そうして俺に軽装の装甲が身につき、

「フェイスオン!」

 頭部装甲には壱と刀があしらわれる。

「哀、お前を止める!」

「なるほど、それが貴方の今の力ね」

「そんな程度じゃ止められないわ!」

「んなもんやってみないとわかんないだろうが!」

「断罪剣・炎!」

 フェーズ1になったことによる高速移動で炎の剣を繰り出す。

「あっつ!意外とやるわね」

「お前を止めてやる!」

「なら、これはどうかしら」

氷星の息吹コキュートスブレス!」

 そう哀がいうと同時に哀の周りに氷の風が巻き起こり炎を消してしまう。

「えぇ…氷で炎って消せるんか」

≪多分、炎の温度よりも低温なんだろう≫

「まじかよ」

≪まぁ呪文使ってないから少し威力は低いがな≫

「その分連発できるだろ?」

≪まぁな、敵の前にいると悠長に詠唱なんてしてられんからな≫

「あら?まさかこれで終わりとか言わないでしょうね?」

 哀が煽ってくる。

「こんの…お前!」

断罪剣・嵐だんざいけん らん!」

 今度は竜巻を剣に纏わせ振るう。

「今度は嵐さ!こんだけ射程が伸びれば避けられまい!」

 竜巻が哀を襲うが。

「んもう!髪が乱れる!」

 …ものともしないようだ。

「どうして怪人なんかを仕向けたんだ!」

 俺は率直な疑問をぶつける

「だって」

。」

「え?」

「さて、今日はあくまで下見だからね」

「お暇させてもらうね」

「おい!待てよ!」

 止めるままなく霧があたりに満ちたと思うと消えてしまった。

「くっそ…あのやろう」

≪あいつが、親玉…≫

「そうさ」

「次会った時こそ、ぶちのめしてやる!」

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