第10話 だいじょうぶぶべべ
ワンルームの四角い部屋。おそらく一人暮らしなのだろう。
左端にベッドがある。中央に小さなテーブルがあり、その奥にはテレビが置かれている。入口から見て右下の角に勉強机があって、右上の角に――
――美斉津が突っ立っていた。ぶべちょぶぶらちょのように鳴いて……。
「ぶべぶべべぶべぶべべぶべべべべべべべぶぶぶぶ、ぶぶぶぶベベベベベベベベぶぶベベぶベベベベぶ」
「お、おい、どうしたんだよ、美斉津……」
「ぶべべべべべべぶべぶぶぶぶぶべべべべべぶべぶぶぶべぶべぶべぶべべ、ぶベベぶぶベベぶぶベベぶ、ぶベベベベベベベベベベベベベベぶぶぶ」
「美斉津っ!」
肩を叩くが、反応せずに美斉津は鳴き続けた。
「む、無駄だ……」
「三廻部……」
「なんど話しかけても……ぶぶ、ダメだった、ぶべ、もう、べべぶ、理香は、ぶぶべ、おかしくべべべべなったんだ……」
「お、おい、おまえもなんかおかしいぞ!」
「じ、実はぶぶおれのべべべべべべ家にもぶべぶぶべぶべちょぶぶらちょがぶべべべいて、おれも、べべぶもうぶぶぶぶべべべべ限界ぶぶべべぶべべぶべで……ぶぶ」
「お、おい、大丈夫か?」
「ぶぶべべべべぶぶべべべだ、ぶぶぶべべいじょべぶべぶべぶべべべぶぶぶぶうべべべべべぶぶぶぶ」
「おい、三廻部! しっかりしろっ!」
「べべぶぶべべべべべべべぶぶぶぶぶぶぶべぶべべべべべぶぶべべべべぶぶべべべぶぶべべ」
「み、三廻部……」
「べべぶぶべぶべぶべちょぶぶぶべべべべぶぶべべべべぶぶべべべべぶぶぶべべべぶべべべべベベベベ、ぶぶぶぶベベぶぶぶぶベベベベベベ」
「ひ、ひっ……」
「ぶぶべべべべぶべべべべべぶぶぶべべべべべぶべべべべべぶべぶぶべべべべぶぶべべべぶぶぶベベ、ぶぶぶぶぶベベベベベベベベベベベベぶぶベベ、ぶぶぶぶぶぶベベぶぶベベぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶベベベベベベベベベベベベベベ」
「う、うあああああ!」
おれはその部屋を出た。二人の狂った人間がいる場所から。
お、おいおい、あいつらはどうなっちまったんだ。
まさか、おれもあんなかんじになるのか?
い、イヤだ。絶対イヤだ。
イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだっ!
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