scene:はじまりのランラク朝

○橋の下・昼

   ランラク朝連合の手により来光屋敷を焼け出されたサムライジャー、河原にて治療しながら行く末を語り合う。


菜綱「私たち、これからどうすればいいんだろう」


   菜綱、膝を抱えて俯く。


末武「どうもこうもねェ。トノサマと姉御がランラク朝についたってンなら調伏するだけだろ」

金時「殿がランラク朝に与する訳がないだろう!きっと、何かお考えがあるに違いない……」

シュツライ「うふふ、無様ねサムライジャー」


   水面が揺らぎ、シュツライの声が響く。


依満「シュツライ!死んだはずじゃ……」


   シュツライ、川から上がってくるが服や髪は濡れていない。


シュツライ「あんなモノノケあがりに将軍名乗られちゃあ、おちおち死んでいられやせんわ」

末武「なんでェ、テメェだってモノノケだろうがよ」

シュツライ「わっちはモノノケだけど、憤将ふんしょう様はわっちらとは違うのよ。なんせ、あのお方は、さきのサムライレッドなんだから」


   金時、サムライマルを抜きシュツライに突きつける。


金時「貴様……今何と言った!」

シュツライ「おや、知らなかったのかい?初代白金はっきん様から数えて309代、アンタらサムライジャーが黄泉に降ってランラク朝将軍として君臨してるのさ」


   サムライジャー、各々鳳凰城での白金との戦いを想起する。


末武「するってえと、白金は鳳凰城に封印されてたんじゃなく、元から鳳凰城の主だったってワケか」

依満「奴が鳳凰詩神を操れたのも、生前サムライジャーだったからと考えれば合点がいく」

菜綱「アタシたちを助けてくれた文絵ふみえ姫も、もしかしたら……」


   シュツライ、依満に鳳凰ディスクを投げ渡す。


シュツライ「楽しみだのう。お前様とあの若殿、どちらが憤将様の後を継ぐのか……」

金時「待て!」


   高笑いを残してシュツライの姿が消える。


依満「……モノノケになんてさせない。絶対に……」

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