第3話 人魚の肉 Karno de marvirino



 いきを引きとる間際まぎわ彼女かのじょはささやいた。んだら人魚にんぎょにくになります。


 なぜ肉なのかとふしぎに思ったが、人魚の肉と言えば不老不死ふろうふしもとわたし長生ながいきをしてほしいとつたえたかったのだろうと納得なっとく


 ところがしばらくして、人魚の肉を果実かじつとしてつける木が発見はっけんされた。


 なぜ木に肉がるのかと人のくびをかしげさせるあたり、まぎれもなく彼女のまれかわりである。


 私に見つけられないことをおそれたのか、世界中いたるところにえてきた。だれでも手に取れるその実を食べ、人類じんるいのほぼ全員ぜんいんが、おそらく不老不死となっただろう。


 しかし彼女のからだにかぶりつくようで、私ひとりだけは、いまだに人魚の肉を食べていない。



Fino



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る