第4話 俺なのに

さぁいよいよ初めてのダンジョンだ。

前の世界ではダンジョンに入ったことはあったのだろうか。とりあえず辺りを警戒しながら歩こう。


カルマ《ダンジョンはモンスターがうやうやいるからきをつけろよ。》


アダム《おっけー。》


少し進んだところで分かれ道があった。


アダム《カルマ〜。どっちなんだ?

天使様なんだから異世界の俺の場所わかるだろー?》


カルマ《方向まではわかるんだがな。

完璧な位置まではわからねぇな。まぁ多分右だ。

ほとんどは右って言うと思うぜ!うんうん!》


俺は左派なんだがな。

カルマの言う通り右に進もう。


少し真っ直ぐ行くと宝箱があった。


アダム《カルマ!宝箱あるぞ!何が入ってんのかな!》


カルマ《開け開け!ケケケ!ケケケ!》


宝箱を開くと中に10銀貨入っていた。


アダム&カルマ《ヤリィ!》


俺らはハイタッチをした。

そしてもう少し奥に進むと、階段があった。


カルマ《おし!次の階層だ。もう少ししたらいるんじゃねえかな。》


アダム《俺もそんな感じがする。なんかゾワゾワするんだ。》


カルマ《死ななきゃなんでもいいんだよ。》


嫌な悪魔だ。


そうして2階層に着いた。


まっすぐ道を進んで左に曲がった時

モンスターが現れた。


アダム《モンスターだ!緑色でしゃくれてて小人みたいなやつ!こいつなら倒せそうだ!》


緑色の小人「ケケケ!ケケケ!」


ん。なんか聞き覚えがある鳴き声だ。

そんなことより経験値だ!


アダム「うおーーー!」


俺は緑色の小人に殴りかかろうとした瞬間、

体が動かなくなった。


アダム《おい何してんだよ!》


カルマは無言だ。


アダム《まさかこいつ。めちゃくちゃ強いのか?》


そうに違いない。じゃないと止めるわけがない。

多分殴ったら500倍くらいになってかえってくるんだ。危なかった。


カルマ《いや。違う。ゴブリンだ。強くはない。》


アダム《じゃあなんでとめたんだよ!逃げたら経験値無駄になるじゃないかー!

俺らはトロイムすら倒せないただ鎧をつけてる何かなんだぞ!倒せるならやらないと!俺じゃなくてもいいからあのゴブリンを倒してくれ!》


カルマ《無理だ。》


ふぇ?


カルマ《ほら。銀貨だ。受け取って早くダンジョンから抜けなさい。》


ど、どゆことだ?全く意味がわからない上に

なんで銀貨まで上げてんの?


ゴブリン「やー!やー!しゃがー!ケケケ!ケケケ!」


カルマ「はっはっはっ。いいんだいいんだ。

上に続く階段はあっちだ。早く行きなさい。」


ゴブリンは嬉しそうに走っていった。


アダム《あなた何をされてる方なんですか?

どういう事ですか?説明してください。》


銀貨も勝手に渡されたし経験値も貰えなかったから俺は怒っている。


カルマ《落ち着け。ゴブリンは悪い奴らじゃない。逃げしてやるのが1番なんだ。》


アダム《いいや!仮にそうだとしても俺に一言言ってくれよ!しかも何で銀貨まで...有り得ねぇ...》


カルマ《言わなかったのはすまなかったな。

これにはワケがあるんだよ。説明するからちゃんと。》


アダム《...どういう事だ。》


カルマ《俺は...俺は...うっうっ》


カルマは泣きそうだ。ゴブリンと何があったのだろう。


カルマ《ゴブリンが死ぬほど大好きなんだぁ!》


泣くな。亡くなれ。


アダム《おいそんな理由で経験値もゴールドもあげるのは納得いかねぇぞ!今すぐ戻ってあのゴブリンを倒すんだ!早く体を俺に渡せ!》


カルマ《すまないなアダム。それだけは許してくれ。ゴブリンだけはダメなんだ。

それにゴブリンを倒しても経験値はわずかだ。

あまり得は無い。》


アダム《そうかそうか。でも銀貨を渡したのはおかしいだろ?なんで銀貨を渡したんだ?》


カルマ《それはですね。よ、喜んで欲しくて...》


あほこの!


アダム《...はぁ。分かった分かった。

まぁ長い付き合いになりそうだし、

元の世界に戻してくれるって言う大きな借りも

あるからな。ゴブリンは倒さないようにするよ。

約束だ。》


カルマ《お前...ありがとな。》


アダム《あ、銀貨はダメな。》


カルマ《はい...》


体がまた使えるようになった。

そうして奥に進むと階段があった。

近い。何かを感じる。

3階層だ。


カルマ《なぁアダム。お前強くなって戻った時、

山賊達より強くなってたら山賊達はどうすんだ?》


アダム《んーわかんないな。前の俺がどんな人間だったのかもわかんないし。戻ったら記憶は戻るんだよな?》


カルマ《ああ。もちろんだぜ。もしかしたらこっちの世界の記憶は無くなるかもしれねぇけどな。たぶん残ってるとは思うが。》


アダム《どういう事だ?》


カルマ《記憶自体は異世界に持って来れねぇんだ。

ある方法じゃないとな。》


アダム《ある方法って?》


カルマ《1つは神具に魂を乗り移らせて異世界を渡る。俺は神具の中に魂があるから記憶があるんだ。これは天使だからとかじゃねぇ。天使もすり抜けられねぇんだ。もうひとつは魔力の壁をすり抜ける。ほぼ無理だがな。最後は魔力の壁を作った者を倒す。こっちもほぼ無理だな。あとはエルフの血を吸う。

この3つのどれかだ。》


アダム《へぇ〜魔力の壁ってやつがやばいんだな。

エルフの血を吸ったら壁をすり抜けれるんだな。

謎だな。》


カルマ《ああ。そうさ。魔力の壁は大きすぎるために避けることも出来ないからな。

そして魔力の壁は魂はすり抜けられるがほかの記憶、感情なんかはすり抜けられず壁に吸収されちまうんだ。神具はエルフの血を少し混ぜて作られてるからすり抜けることが可能なのさ。魔力の壁を作ったのはエルフなんだ。》


アダム《ふむふむ。じゃあみんなエルフの血を吸ったらみんな異世界に記憶が残ったまま飛ぶことが出来るのか。》


カルマ《そうだな。でももうエルフは...ん?おい目の前。》


アダム《ん?》


目の前には...



先程より小さなゴブリンがいた。


あ、もう体動かない。


カルマ《よーしゴブリンちゃん!おいでおいでー!》


ゴブリン《...》


カルマ《んわー!もう可愛い!ほらほらほらよーしよしよし。》


.....


ゴブリン《けけっけけけっけ!》


カルマ《まだ子供だ。はぐれたのだろう。可哀想に。先程もゴブリンを助けたのだ。そのゴブリンもダンジョンを出るために支度をしているところだろう。彼について行きなさい。》


ゴブリン《けけっけ!けけっけ!》


カルマ《ほら!銀貨5枚だ!受け取りなさい。》


やったなこいつ。


ゴブリンは嬉しそうに去っていった。


アダム《人の話聞いてましたか?さっき銀貨は渡すなって約束しましたよね?はいっていってましたよね?何してるんですかね?なんなんですかね?》


カルマ《いやほんとにごめんなさい。わざとじゃないんです。反省反省》


なんやこの鎧


アダム《次は無いからな。次やったらゴブリン見つけた瞬間ボコボコにして経験値貰うからな。》


カルマ《そ!それはいかん!いかんいかん!わかった!もう絶対渡さないから!許して!ねぇ!お願いお願い!》


アダム《頼むぜ本当に〜》


少し歩いたら広い場所に出た。


カルマ《...》


いた!4人いるな。何かと戦おうとしてる。加勢しないと!



と思ったが。その何かを瞬殺したのだった。



異世界の俺が。






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きっと僕達は -呪いで世界を救います- どぅぬら @do-nura

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