第4話 歌姫の隣の席の人
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴る。
そんな時、私と若葉は教室についていた。
セーフ。なんとか‼︎
だが、私と若葉はゼーハーゼーハー言っていた。
理由は走ってきたから一択だけどね。
で、そんなことはどうでもいいんだけれど今、私と若葉は注目を浴びてる。
ですよね〜。わかってました。私って入学式以来全くきていなくて、誰?って状態になっていることを……。あと、若葉と一緒にいてさらに浮いていることにも。
私は心の中でハハハハっと笑っていた。
ジロジロ見られながらも私と若葉は自分の席へ向かっていく。
幸いにも席は入学してから変わっていないらしく、自分の席がどこ?と言うことは起こらなかった。
私の席は一番後ろの窓側から二番目の席。窓側から出席番号順に机が並んでいるからだ。
そういえば隣の席の子って誰だっけ?
私はいまいち思い出せない。
まぁ、そんなこともあるか。
私は自分の席に座る。
なんか、すっごい視線を感じてソワソワする。
そんな中、担任の先生が入ってくる。
先生の名前は確か……西田…。いや、東南……。いや、これは方角か。
私は思い出そうとものすごく考える。
……そ、そうだ!
中嶋先生は簡単に言えば幼く可愛らしい顔をした先生。ちなみに名前とは反し男性の先生だ。
入学式の時の自己紹介で先生曰く、看護師がなぜか間違うはずのない性別を間違えたからだとか……。その看護師は夜勤明けで意識が朦朧としていたとか。……していなかったとか。なんとか言っていた。
まぁ、先生は黒髪で男性とは思えない可愛らしい顔をしているが、悲しいことに服がダサすぎる。絶対にセットで安いものを買っているんだろうな。
若葉曰く、容姿がいいのに服がダメだから、ついたあだ名は残念先生らしい。
うん。ピッタリなあだ名だ。
私は心の中で頷く。
中嶋先生は遅刻者がいないかと教室を見渡す。
そして、先生は私を見てびっくりするが、すぐ平然を装う。
まぁ、そんな反応するよね。
先生はまた、見渡す。
そんな時にガラガラッと教室のドアが開く音がする。
「ま、間に合ったな。多分‼︎」
そんなことを言いながら黄色に少し茶色っぽい髪をした男子生徒が入ってくる。
「まにあってないよ。
中嶋先生は呆れながら言う。
私もうんうんと頷く。
……この遅刻魔‼︎」
そして次の瞬間豹変し、白いチョークを五本一気に投げる。
私は一瞬ポカンっとなった。今起きていることにびっくりしたからだ。
ふえッ!どこに隠してた、そのチョーク‼︎
私はとてもびっくりしているが、周りの皆は見慣れた様子なのかそこまでびっくりしていない。
チョークはすっごい勢いで遅刻魔くんの顔面を目掛けて飛んでいく。
が、遅刻魔くんは顔を横にずらしてチョークを避ける。すっごい風圧が遅刻魔くんの顔の真横を通っていった。
そして、チョークは廊下に出て廊下の窓を破る。
ふぇ⁉︎あのチョークそこまで威力あるの⁉︎こわ‼︎
私は心の中で怯えていると、中嶋先生は六本目のチョークを取り出して遅刻魔くんに投げる。
ひ、卑怯だ!
だが、遅刻魔くんは平然としていた。
「先生?学ばないな。何度も避けれているのに。まぁ、めげないのには拍手を上げますよ!」
遅刻魔くんはすっごい煽る。これでもかというほどに。そ俺もすっごい悪役顔で。
「ふっ。それはどうだろうね」
先生はニヤリと笑った。
遅刻魔くんは頭をはてなマークを浮かべている。
チョークは遅刻魔くんの真横をまた飛んで行った。
私はその時とてもすっごい音を聞いた。
「何もないじゃないですか!」
そんなことを言っていたのも束の間、通り過ぎたチョークがビュンとカーブを描きカシュッと遅刻魔くんの頬をかする。
「っ……」
痛かったらしく遅刻魔くんの顔は歪む。
すると、クラスメイトが驚いてザワザワしている。
「え……?」「あの
そこ?びっくりするとこはさ……。
クラスメイトズレてるなと私は思った。
チョークは教室の窓を破って、グラウンドに飛んでいった。
「どうだったかな?成長しているだろう?」
先生は自慢げに言う。
「そ、そうだな。そこは認めてやる」
そう言って遅刻魔くんは自分の席に向かう。遅刻魔くんの席は私の席の横だった。
「お?お前、入学式から一向に来なかった奴か!」
遅刻魔くんは私のことを覚えてくれていたらしい。
ちょっと嬉しい。
「確か名前はだな……。悪い、覚えていないな。名前はなんだ?」
遅刻魔くんは結構、さっきのと反していい人な気がする。
私はそんないい人の遅刻魔くんに名前を教えようとしたが、陰キャで引き籠もっていた私にはものすごくハードルが高く、「う、そ、その、えっと、あの」とか消えそうな声でそんなことを言っていた。
「わかった。もういいぞ」
そう言って遅刻魔くんは私との会話を終えた。
うぅ……。遅刻魔くんに呆れられたのかな?夕美先輩とは喋れたのに……。
夕美先輩と喋れたのは夕美先輩が話しかけてくれたことと、若葉がいてくれたからだと思う。
私って、やっぱり若葉がいないと初対面の人と喋れないのかな……。
私は気分が沈む。
そんな時、遅刻魔くんがこちらに折りたたんだ小さな紙を渡してきた。
よく見ると、ノートの端を切り取ったものらしい。
私は紙を開いてみる。
『お前って、コミュ障とかそんなのか?それなら、ちょっと悪いことしたと思ってるから。お前とかはグイグイくるの少し嫌だよな。ほんとごめん』
丁寧な文字で謝罪をした文を書いてくれていた。それに気遣いもしてくれている。
よかった。呆れられたわけじゃなかったんだ。
私はほっとして、ノートの端をちぎって返事を書いた。
さっきの話しかけてきてくれたのが嬉しかったことを綴っていった。
陰キャの引き籠もり歌姫の学校生活 水見 @chunsuke
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。陰キャの引き籠もり歌姫の学校生活の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます