第2話 天使

シュリナの意識はもう失われ掛けていた。


『こんな感じで命って終わるんだ』


朦朧(もうろう)とした意識の中でシュリナはふとそんな事を考えていた。


鋭い剣で刺されたシュリナのその腹部からは大量な血が今も容赦なく溢れ出ていた。


民間人の少女なのだ

だが、戦(いくさ)になると人は種族を問わずに憎しみと言う狂気に捕らわれる。

そんな狂気に捕らわれた人間族の兵士の刃の手に掛かりシュリナは今、その命の幕を卸そうとしていた。


やがて眩い光がシュリナの身体を包んだ

白色の光だった

シュリナはおぼろげにその中に立つひとりの人の姿を見詰めた

その人の背中には翼が生えていた。

そう、シュリナが先ほど空を舞っているのを目にした、それは天使であった。


その天使はシュリナが今までに見た事が無い位の美しい女性の姿をしていた。


僅かな意識の中、その瞳に映るその天使の姿にシュリナは思わず見蕩(みと)れていた。


そんな素敵な人が自分を見、そして近づいて来る。


だからシュリナは今まさに命が尽きようとしているその間際に、何とか、何とか、その天使に応え様と、満身創痍の身体を出来るだけ動かそう、動かそうと努力をした、だがもうシュリナの身体に起きた現実はそれを許さなかった。

だからせめての思いでシュリナは出せるだけの声を絞り出して


「て、天使様……」


擦れ声でその天使へ向けて言うと


天使はそれに


「大丈夫、だからもう、動かないで。」


シュリナに安堵の言葉を掛けながら傍へと歩み寄ると


「大丈夫、もう死ぬ事は無くなるから……」


シュリナの朦朧(もうろう)とした意識の中にハッキリとその天使の言葉は入って来。

やがて、その天使はシュリナにそっと口付けをした。


だが、その時のシュリナはもう意識を失い、その起きた全てを覚えてはいなかった。


そしてシュリナは不老不死の力を得て今は戦場にその身を置き戦っていた。






「」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

メイド学校のりるる外伝 戦場のシュリナ みけねこ @piyonkite

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る