メイド学校のりるる外伝 戦場のシュリナ

みけねこ

第1話 戦場

青い空が広がっていた


降り注ぐ

夏の暑い日差しを浴びて

その身体は『暑さ』を感じている


「まだ生きている……」


その少女、シュリナは

ポツリと呟いた


そこは、砂漠地帯にあるソドムと言う街


いた、だった場所となった

滅びを迎えた街


人間族とけもの族の激しい戦闘の嵐が、このソドムへもやって来て、たった今、その歴史に幕を降ろした。


街の花屋の娘シュリナは家も家族も全てをあっという間に失ってしまった。


そして、間もなく自分の命でさえも失いつつあった。


砂の大地の上にシュリナはその身を横たえ、そして空を見上げていた。

身を動かそうとしても、最早それだけの力を出す事は出来なかった。


「あぁ…暑いな…」


シュリナは多分もうすぐ自分は死ぬ

そんなには長く無いな。

とそんな哀しい思いを抱きながらずっと空を見上げていた。


ふと、その時だった


シュリナの視界の中に鳥の様な翼を持つ、人 らしき影が、スッと飛び込み、それはシュリナの視界からすぐに消えて行った。


『今のはひょっとしたら天使様?、私を迎えに来たのかしら……』


だが、シュリナはそれさえも死の間際の幻覚だろ。

と希望が失われ行く中で現実を直視しながら自身を嘲笑した。


「だけど悪い事はしていなかったみいね……」


幻覚であろうとも天使様が自分の前に現れた。

それだけが今のシュリナに僅かにもたらされた希望であった。









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