かぐや姫、現代に降臨す
額田兼続@最近DR.STONE好きな人
かぐや姫、地球に降臨す。
…もう2000歳になって、ようやく結婚か。
私はかぐや姫。
皆さんもご存知でしょう?
なんちゃら物語…のヒロイン、というか主人公。
あ、思い出した。
「竹取物語」だ。
…うん。
もう話すことないや。
ちなみにここは月。
かぐや姫ってもっと華やかなホホホって笑ってるタイプの人だと思った?
半分正解。
「表の顔」はきらびやかなお姫様。
「裏の顔」であり素の顔は今の私。
私はホホホというよりハハハだね。
「裏の顔」を知ってる人なんて竹取の
「姫。婿様がいらっしゃりました」
「
この
私に使える侍女だ。
この娘も私の「裏の顔」を知っている。
…結婚なんぞほんとはしたくない。
不老不死であるこの身体が憎らしい。結婚すれば一生同じパートナーだから。
離婚でもしない限り、ね。
でも月は源平の戦いなんぞ無いし、平安時代だ。
男がOKしないと、女は離婚できないのだ…
「(姫もご存知ですね…姫の婿様は、女ポイ捨て男こと、
杉原智彦。
彼には側室が2000人以上いる。
しかし彼はそのほとんどの名前を覚えておらず、なんなら昔は溺愛していたのに今は存在さえ忘れている、という女も多い。
こんな人が居るんじゃあ、宇宙中のスギワラさんとトモヒコさんが可哀想だよ。
そんな奴と私が結婚…!?
嫌だ嫌だ。
由舞曰く、明日結婚式だという。
…逃げよう。
★✴︎★
「由舞」
「どうしました」
「私、地球に戻る」
「え!?無茶ですよ!第一宇宙空間に出られるかどうか…」
「いや、行く。クズ彦と結婚するよりはましでしょ。地球なんて銀河鉄道乗ればすぐでしょ?」
「そりゃそうですけど…」
銀河鉄道。
200年くらい前に発明された優れものだ。
地球の宮沢賢治とかいう人が原型を書いて、それを火星人の誰かが作ったんだってさ。
っていうか火星人っていたんだね。
「銀河鉄道なんて、地球まで行けば高額ですよ!?」
「まあ宇宙食でも持ってけば多少は節約できるでしょ?じゃあ行くよ」
「私もですか!?」
「く・ち・ふ・う・じ。こんな事知られたらまた連れ戻されるでしょ?」
「…確かに私ならお父様方に言ってしまいますね」
「行くよ!まずは宇宙食!」
「え!?」
私は由舞の手をがっしり掴み、【望月駅】と書かれた建物へ駆け込んだ。
そして私は着替えて、覆面をつけて防犯カメラを破壊。これで大丈夫なはずだ。
「ええと、姫と私の銀河鉄道きっぷ…姫、10円玉あります?」
「あるよ。へいパス!」
投げる。
由舞は素早くキャッチ。
「姫…夜中で誰もいないから良いですけど、そんな事すれば今の10円玉は盗られていた可能性も…」
「誰もいないからやったんじゃん」
「全く、姫ったら…」
私はお構い無しに宇宙食75個買う。
「え!?そんなにいらなくないですか!?」
「いや、一応だよ?地球に降りた時にこの分食べれるじゃん」
「…まあ、そうですね。っていうか本当に突然行っていいのですか?」
「大丈夫。どうせ帰ってこないんだし」
「お父様は、そんな事言っても探すと思います」
「大丈夫。父さんの中で私は地球にいたことを忘れてる事になってるから」
「そうでしたね」
竹取物語を知っている人なら気づいたかもしれない。
私は物語の終わりで記憶が消えたりする衣を羽織るのだ。
しかし由舞がただの衣と入れ替え、私は記憶が消えずに済んだ。
その後はもう全部演技。抵抗したら他の侍女にバレ、由舞が処分される可能性もある。今度こそ、記憶が消えてしまうのだ。
「だから見つからないわよ。防犯カメラも破壊しておいたし」
「そうですね…ちょっと良心が痛みますけど」
「いいの。1:00ので行くよ」
「はい」
★✴︎★
午前1時。
『えー、望月駅、望月駅。お降りの際は足元にご注意ください………』
「来たね」
「いよいよですか」
「もう戻る気はない。乗ろう」
「はい」
★✴︎★
「広いね」
「はい」
「「……………………………」」
会話がっ。途切れるっ。
話す事がっ。無いっ。
「あ、そうだ。ちょっと外見ない?」
「…私は先程からずっと外を眺めていますが」
「あ、ごめん」
ひーまー。超スーパーウルトラ暇DXプレミアム。
…なんかこんな薬ありそうだな。
そういえば今何時だろ。
…1時半。
定刻通りならもう着くはずだ。
『えー、まもなく、東京駅、東京駅。お降りの際は…』
「降りる支度でもしますか」
「そうだね」
★✴︎★
よーし。只今1:35。
京に行きたいけど、まずはここ(東京ってどこ)を探索だ。
ちなみにここは【裏東京駅】。そこのアナタが行ける東京駅じゃないのよ。
「由舞、服持ってきた?」
「はい。姫、一人で着替えられます?」
「そりゃ当然よ。毎日来てるんだから、服なんて」
「そうじゃなくて、ですね。姫や私が今来てるのは『和服』。現代日本だと『洋服』を着るのですよ」
「洋服…ね。着たらどんな格好になるの?」
「ちょっと着替えてきますね」
★✴︎★
「これが『洋服』です」
「あれ?思ったよりシンプルじゃん」
「十二単なんて重いだけですよ」
「本当?どれどれ…うっわ、軽っ」
凄い。
さて、私も着替えますか。
★✴︎★
「どう?」
「似合ってます」
私が着たのはなんて表現すればいいのか分からないけど、うん。可愛い。
「早朝5時になったら、表東京駅へ行きましょうか。その位の時間なら、私達が出歩いてもおかしくないでしょう」
「そうだね」
その間は、持ってきたゲームをしながら待つか。
★✴︎★
早朝5時。
表東京駅を何度も覗いた。
人が増えつつある。
私がちょっとした奇行を犯しても、まあバレないでしょう。
「行こっか」
「…ちょっと待ってください。現代日本で『姫』なんて呼べば変人かと思われますよ?仮名でも考えましょう」
「そうなんだ。由舞はそのままでいっか」
「私も、一応変えたいです。竹取物語に何が書かれてたのか知りませんし」
「そっか。じゃあ、私は…」
考える。考える。考える。
「…
月には私と同じくなんらかの罪を犯して地球に落とされた姫がいる。
その時、私とは違い10歳程の見た目で落とされたらしい。その時名前を聞かれ、咄嗟に答えたらしい。
それに、彼女が落とされたのはわりと最近。
安芸国と肥前国に爆弾落とされて、当時の帝が降伏したちょうどその頃だ。
…っていうかさ。
なんであの時の帝が生きてないんだ。
その頃は上皇なんて居なかったらしい。
当時の帝も全然違う人。写真?を見せてもらったけど全くの別人。
不老不死の薬、渡したんだけどな。
まあそれはそうとして。
彼女は罪の期限が切れると、自力で(銀河鉄道経由。銀河鉄道って便利)月に帰った。記憶も勿論消えてない。
私と彼女は文通しているのだ。
その時に名前を参考にする許可を貰った。
そして思いついた名前は-
「…
「いいですね、それ」
「由舞は?」
「私はですね…」
沈黙。
「
「良いね!」
「ありがとうございます。銀華さん、と呼べばよろしいですか」
「堅苦しい。銀華でいい」
「じゃあ、銀華、で呼ばせていただきます」
「分かった。じゃあ行くよ」
★✴︎★
人が多い。うるさい。
…なんて事はなく、広すぎて迷う。
「柚稀?まずは京都へ行くよ」
この時代、天皇家は武蔵にお引越ししたらしい。
でもゆかりの場所へ行きたい。
「分かりました。じゃあ14200円ください」
「へいパス」
今度こそ投げず、手渡しだ。
新幹線代が大人2枚で26640円。
私も柚稀も見た目は15歳程。だが12歳以下じゃないと安くはならないらしい。
もうちょっと幼い見た目だったらなぁ。
「お金で嘆いてないでください。6時ので行きますよ」
6時…ゑ!?
「ヤバい!あと20分じゃん!」
「自由席なので空いてるとこ座りましょう!ほら!」
柚稀に腕を引っ張られ、なんとか新幹線に乗車できた。
かぐや姫、現代に降臨す 額田兼続@最近DR.STONE好きな人 @Nekofuwa-jarashi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。かぐや姫、現代に降臨すの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます