第7話:花屋ってなに?

で、アパートの前まで帰ってきた空、アパートの入り口の階段手前を見て驚いた。

そこに花屋と見まごうばかりに花や鉢植えが売り物のように並んでいたからだ。


「なんだこれ?・・・管理人、花屋でも始めるのか?」


空は首をかしげながら、自分の部屋に帰った。


「ただいま〜」

「あ〜ん、お帰り〜空・・・寂しかったの〜」


そう言って絵留は空に抱きついた。

また彼女のボリューミーなおっぱいが胸を圧迫した。


「あ、あのさ・・・下の花・・・っていうか花壇?」

「あれなに?・・・絵留知ってる?」


「私、花屋さんやろうと思って、お店がないからね、とりあえずアパートの

前に並べてみたの?」


「並べたって・・・あんなたくさんの花どこから仕入れてきたんだよ?」

「それ勝手にあんなことしたら管理人に怒られるだろ?」


「管理人さんとはちゃんと話ついてるから・・・」


絵留は管理人まで洗脳しちゃったみたいだね。


「そなのか?・・・管理人がいいって?どうも疑わしいな」

「それよりだよ、あの花、どこで仕入れてきたの?」


「買ってきたとか盗んできたとかじゃないからね」

「この際だから私の能力、空に教えとかなきゃいけないかな?」


「能力?・・・能力ってなに?」


「私ね、身近にある物質を一度分子分解、化学結合して違う物質に変える

ことができるの・・・たとえば、雑誌をマグカップに変えたり・・・道に

落ちてる石ころを花に変えたりね・・・そういうことだよ」

「だから表にある花もそうやって作ったものだから大丈夫だよ」


「うそ〜まじで?絵留そんなことができるのか?」

「絵留って何者?」


「本当のこと言ったほうがいいのかな?」

「空、知りたい?私のこと?」


「そりゃね、そもそもラブドールが動いてしゃべるってこと自体まだ理解

できてないからな」


「あのね、私本当は遠い宇宙からこの地球にやってきた生命体なの」

「で、この地球で空のお仕事場に飾られてたお人形さんに魅せられて中に

入っちゃったわけ・・・それと毎日私「絵留」を見てやさしく声をかけて

くれる空も大好きになっちゃって・・・」


「それが空が作ったラブドールが動いてしゃべる理由のすべての真相だよ」


「え〜・・・絵留って異星人?」


「そうだけど、私は実体を持たない有機体だから、なにかモノに寄生して

生きてるの」

「できたら私、このまま絵留ちゃんのまま空と暮らしたい」


「そのために花屋さん始めることにしたの?」

「空が働かなくていいように・・・ね、ふたりで花屋さんやろうよ」


「そうなんだ・・・そんなことまじあるんだ・・・」

「まあ、ラブドールだった絵留に生命が宿ったって事実があるからね」

「本当の話だとは思うけど・・・そうなんだ」


「だけど花屋って・・・アパートの前はマズいだろ?」

「ちゃんと店を構えないと・・・」


「そうだね・・・これは仮のお店だよ」

「そうなるとどこかに土地探さないとな・・・」

「そだね、場所さえあったら、お店は私に任せといて可愛いお店建てるから」


「え?そんなデカいモノまで作れるのか?」

「大丈夫だよ、この地球にはいっぱい粗大ごみがあるからね」

「再生すればいいだけのことだよ」


「至れり尽くせりだな・・・絵留って」


つづく。




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