第5話:誘惑する絵留。

「え〜お留守番なんてつまんない」

「なら、ひとりでやっちゃうよ私」


「やっちゃうって?・・・なにを?・・・うそ、まじでか?・・・いつそんな

こと覚えたんだよ」

「ったく、エロいラブドールだな・・・」


「そんなのネットでいくらでも落ちてるもん」


「するなとは言わないけど・・・テレビでもなんでも見てればいいだろ?」

「たぶんだけど・・・絵留の言うことを聞いてたら僕たちは路頭に迷うことに

なると思うぞ」

「ふたりそろってホームレスだな」


「空、私にいい考えがある・・・私、ラブドールでしょ?・・・私をレンタル

すればいいんだよ・・・」


「レ、レンタル?・・・・」

「なに、なにバカなこと言ってんの?」

「絶対ありえないから、地球温暖化で人類が地球に住めなくなって家族揃って

木星に移住するようなことになってもそれはない!!」


「お金大量にいるんでしょ?生活のために」

「だから私が稼ぐ、空が働かなくていいように・・・」


「ダメダメ、絵留がレンタルで貸し出されて行ったって僕と一緒にはいられない

ことには変わんないんだぞ」


「あ、そうか・・・アホだね、私」


「レンタルだなんて、そもそも絵留は僕だけの絵留じゃないのか?」

「誰でもいいのか・・・レンタルってことは他の男とエッチするってことだぞ

・・・分かってる?」


「・・・でもいっぱいエッチしたらお金貰えるかもしれないでしょ?


「ラブドールの時なら、それもありだったかもしれないけどもうラブドールじゃ

ないんなら、それはダメだろ?たぶん犯罪になっちゃうよ?」

「それに他の男と寝るなんて貞操観念がないよ」


「え?ていそうかんねん?・・・・検索、検索」


「いいよ、そんなもん検索しなくても・・・」


「え〜貞操観念とは一言で言うと肉体的な純潔を守らなければならないという

考え方」

「う〜ん・・・いまいち分かんない?」


「あのな簡単に言うとだな、僕って彼氏がいるのに他の男にも興味を持つ

って言うか、つまり僕とエッチする関係なのに他の誰とでもエッチしちゃう

そんな、ふしだらな人のこと貞操観念がない人って言うの」

「そう言う行為を浮気とも言うけどな・・・」


「僕とエッチする関係なのにって・・・私、まだ空とエッチしてないもん」

「浮気になんかならないでしょ?」


「あのな、体だけの問題じゃなくて気持ちの上でも他の男に心を許したら

もうそれは立派な浮気ってことになるの」


「ふ〜ん・・・恋愛って複雑で難しいんだね」


「恋愛に限らずどんなことでも人の心が複雑なんだよ」


「分かった・・・じゃ〜なにを置いても私が空とエッチすることのほうが

大事なんだ」


「え?なんでそうなるんだよ?」


「どうせヒマだし・・・しようよエッチ・・・ね、いいでしょ?」


「いやいや就職活動・・・」


「やだ〜そんな活動やめてエッチな活動しようよ〜」


絵留にそう言われて、めちゃ迷う空だった。

自分が作ったラブドールとエッチしてなにが悪い・・・いやいや自分が

作ったからこそ汚せない。

正直エッチしたいって気持ちは山々だけど・・・やっぱりできないよ。


だけど今の絵留はもうラブドールでもなんでもないんだよな。

ちゃんと自覚してて意思があるなら、それはもうひとりの立派な女・・・

それなら余計エッチなんかダメじゃないか?


「ね、空・・・エッチ・・・ね?」

「なにため息なんかついてるの?」


つづく。




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