第4話:エロいラブドール。

さてヘブンズ・ドアを辞めた空は就職先を探すためネットで求人募集を検索した。

とくに資格や手に職を持ってるわけでもない空は、とりあえずどこでもいいから

勤めに出たかった。


「空・・・ふぁわ〜あ・・・おっはよ・・・なにしてんの?」


「え〜朝からスッポンポンかよ・・・絵留、パジャマは?」


「あんなのゴワゴワして眠れない」

「おっはよ」


「ああ、おはよう絵留」


(絵留じゃなくてエロだな・・・朝から裸って・・・まあ絵留の裸は

嫌ってほど見てるけどな・・・慣れって怖いよな、これが当たり前になって

ちっとも興奮しないよ)


「モーニングハグしてあげるぅ」


「やめろって・・・今さ、大事なことしてるんだから・・・」


「ハグなんて1分もかからないよ」


そう言うと絵留はいきなり空のところに来るなり無理やり彼を抱きしめた。

椅子に座っていた空はモロ絵留のおっぱいに顔を埋めることになった。


「お〜っと椅子から・・・うぐ・・・」

「うぐぐぐぐ・・・・ち、ちっそく・・・お、おっぱい・・・おぱいが」

「ぐふ・・・ぢっぞぐずる・・・・ぢ、ぢぬううう」


「ほ〜ら1分もかからなかったでしょ?」


「はあ、はあ・・・あ〜危なかった・・・窒息死するかと思った」

「エロ・・・違った、絵留、おまえのおっぱいそんなにデカかったっけ?」


「私を作った人が、なに言ってるの?」


「そうか、やっぱり僕がそれ作ったんだよな」

「ちょっとデカすぎたかな・・・あんなに思い切りハグされたら僕はいつか

窒息して死ぬな・・・間違いなく」

「さすが新素材・・・本物のおっぱいと変わんないやって言いたいけど、

本物の女の子のおっぱいに顔埋めたことないから分かんねえ」


「私、お腹すいた・・・」


「え?ラブドールなのに?・・・飯なんか食うのか?」

「だってもうラブドールじゃないもん・・・知的生命体だし?」


「なに?知的生命体って?」


「なんでもない・・・それよりお腹すいた〜」


絵留は空に本当のことを話しても信じてもらえないと思った。


「ちょ、ちょっと待て・・・ここの会社の募集に連絡とってからな」


「なにしてんの?」


「就職活動・・・働かなきゃ僕も絵留もここから出て行かなきゃいけないし

ご飯も食べられなくなるからな」


「働くって?・・・あ、いい・・・ちょっと待ってね・・・」


そう言うと絵留は頭に人差し指を当てた。


「ん?絵留、なにしてんの?」


「働くを検索してるの・・・」


「検索?・・・どうやって?」


「私の脳はリモートでネットと繋がってるの・・・」

「働くとは一般的には体力や時間を切り売りして対価を得ること・・・なるほど」


「だから、そう言ってるだろ・・・働かなきゃお金貰えないの」


「空・・・その働くを求めて私を置いて出てくの?」


「出てきゃしないよ・・・一時的に勤めに出るだけだよ」


「帰ってくるの?」


「朝出かけて夕方には帰って来るから・・・だからその間、絵留は留守番だな」


「え〜お留守番なんてつまんない」

「ひとりでやっちゃうよ私」


「やっちゃうって?・・・なにを?・・・うそ、まじで?いつそんなこと覚えた

んだよ」

「ったく、エロいラブドールだな・・・」


つづく。


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