第235話
カリアの元に来たノインだったが、彼は今仕事をしていた。
それはカリアがしている重たいものを運ぶ仕事。
つまりカリアのお手伝いである。
きっかけは今日の朝のことだった。
移動魔法でカリアの家を訪ねたノイン。
しかし、そこには誰もいなかったため仕事に行ったのだろうと1度家に帰ろうとした。
そこであることを思いだした。
カリアの付き添いで来ても良いと言われたことを。
そして、家では二人が仲良くしているだろうから邪魔しては悪いと思っていたこともあり、お邪魔してみることにした。
◆
そして今に至る。
「本当に大丈夫?」
隣で同じ物を軽々と持ち上げるカリアが心配そうにノインを見ている。
「大丈夫だよ」
そう言うノインではあるが魔法で身体能力を強化してやっと持っていられる位だった。
「先輩が変なこと言うから」
カリアがそう言いながらその張本人を見る。
「別に変なことじゃないでしょ?人手が増えたらその分仕事が早く終わる。
早く終わればその分二人の時間が増える。そして、彼氏くんも事務所でボーッとする無駄な時間を有効に使うことが出来る。一石二鳥でしょ」
「そうですけど、これ人間には結構キツいと思うんですけど」
「彼氏くん魔法を使えるみたいだし、大丈夫でしょ。ね、彼氏くん?」
「はい、大丈夫です」
「よし、じゃあさっさと終わらそう」
◆
数時間後。
「これでラストだね。後一頑張りだよ」
「は、はい」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」
そう言うノインからは汗が流れている。
この持ち運びする運動とその物を運ぶ際はずっと魔法を使い続けるのは身体能力が上がっているとはいえキツいものだったのだ。
それでも頑張っているのは、来てからとあることに気づいたのだ。
以前カリアと職場には来ないと約束していたことに。
カリアはあまり気にしていないようだが、それを忘れていたため何らかの形でお詫びをしなければと考えていたのだ。そんなときにカリアの上司から仕事のお手伝いをすることを提案され、これだと思った。
そのため汗だくになりながら頑張っているのである。
◆
こうしてカリアの仕事は終わり家に帰ってきた。
「ごめん、職場に行って」
ノインは改めてカリアに謝る。
「え?何で?」
カリアは本当に何を言っているのかわかってないようだった。
「職場には行かないって約束してたから」
「あ、そういえば・・・・・・・・・でも、頑張ってくれたから良いよ」
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