第216話

「なるほど、そちらの言い分は理解した。だが、なぜそれで獣人の国を攻撃したのだ?」

そういえば確かに。精霊王=獣人の王と分かっていないとその行動には至らないはずだ。

「先代が獣人の王と精霊王が同一人物だという情報をつかまれたのですよ。それに加えて最近精霊と獣人の間柄が近くなっているのを確認し間違いないと確信しました」

「失礼だが、その先代は?」

「放浪グセのある方でしたから私に代替わりした後、全く見かけてません」

レクスのやつ何で急に先代の事を聞き始めたんだ?

別に正しい情報だったんだから聞く意味はないと思うんだけど。

というか先代の族長に放浪グセがあるって・・・・・・

ちゃんと族長の仕事を出来ていたのか?

「ここに精霊王を呼ぶことが手っ取り早く話を進められるが、どうだ?」

「な!し、しかし・・・・・・」

「戦闘行為になったときは私がウェンテライウの王子として仲裁しよう」

「王子でございましたか。その冷静さからただ者ではないと感じていましたが・・・・・・わかりました。

それではここに精霊王を連れてきていただきましょう」



それからエルフの村を出て精霊王を呼びに戻っている。

移動魔法は見られないようにするため使わず徒歩で帰っている。

「どう思う?」

「どちらも嘘をついていないだろうな」

それだと矛盾が生じる気がするのだが・・・・・・

そう思っているとレクスが続きを述べる。

「精霊王の方は断言していないからな。ただ、あの言い様からして精霊王がちゃんとやっているのだろう。そして、あの御神木が枯れている以上エルフも嘘はついていない。あるとすれば・・・・・・第三者の関与だろうな」

「第三者か。例えばエルフの先代の族長とか、かいな?」

リーセスの言葉にハッとする。レクスも先代について聞いていたし。

「まあ、今の情報だけだとその先代の族長が一番怪しいな。だが、まだ精霊王が黒幕という可能性もゼロではない。気を抜くなよ?」

それ以降はその件に関する話はなかった。



それからお腹が空いてきた頃、森を抜けることが出来た。

「昼食は後にしよう。先に精霊王に会いにいくぞ」

そして、歩いていき精霊王の間に着いた。

「ごめん、話の内容を精霊を通して聞いちゃったよ。悪いね。僕が疑わしいと思うなら拘束でも何でもして良いよ」

そう言えば精霊を通して情報を・・・・・・って言ってたわ。完全に忘れてた。

そう思いながらレクスを見てみるとそちらも今気づいたようだった。

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