第215話

突然周囲からガサゴソという音が聞こえ一人の高身長の人形の生物、恐らくエルフが姿を現した。

「人間ども、ここは我らエルフの領域。何用だ!」

その声と共に周りからもガサゴソ聞こえ始め周囲を囲まれた。

「突然すまない。私たちは仲介を頼まれて来たのだが、事を構えるつもりなら応戦する」

レクスが代表してそう言う。

「仲介?まさか精霊王、もしくは獣人の王からか?」

「そうだが」

「・・・・・・・・・良いだろう。とりあえず我が村までついてきてもらおう」

探す手間は省けたけど、何か少しイメージと違ったな。

何もなしに魔獣に襲わせてくる行動をとってくるから僕たちにも何も言わずに襲いかかってくるものだと思っていた。



長身のエルフの先導の元周りはエルフに囲まれたまま進んでいった。

そして村らしきものが見えてくるが中心で枯れかかっている大木が目に止まる。

高さこそ周りより少し高い程度だが、幹の太さが周りのものと比べ物にならない。

それでも枯れかかっているとわかるのは、周りの木は常緑樹なのか緑色の葉がたくさんついているが、その大木には一つも葉がついていなかった。

その木に目を向けている間にも先導している長身のエルフはスタスタと歩いていく。



「ここまでお連れだてしてすまない。私は族長のウィルマス。先程の非礼を詫びよう」

一つの木造の家に入ると先程まで先導していた長身のエルフが振り返りこちらを向きそう言った。

全然交戦する意思は無さそうだな。

「それは問題ない。それにしてもすごい対応の違いだな」

「君たちの近くに精霊がいましたから」

「仲介をしに来たにあたりそちらが襲ってきた理由を知りたいのだが」

「精霊王から聞いてませんか?いいでしょう。始まりは精霊王の代替わりをした頃でした。

その頃ちょうどエルフの族長も代替わりしましてそれが私の先代の族長になります。その頃からです。皆さんも見られたと思いますが、中央の御神木が徐々に枯れ始めたのです。皆さんは知られているかわかりませんが、あの御神木は精霊王の力によって生きているといっても過言ではない。初めはまだ、慣れていないのだろうと多めに見ていたが、何年経っても改善される気配がない。そのため先代は精霊王に直接話を聞きに行きました。しかし、結果は追い返されるだけだったそうです。そして、御神木がもうすぐ枯れそうになっているので強行手段にでさせてもらった、というのがことのあらましですね」

サテュロスさんの言いようでは今も魔力を送っていそうだったけど・・・・・・

どっちを信じれば良いんだ?

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