第214話

レクスはローゼと過ごしていた。

婚約者への説明義務があるとローゼに言われたレクスは危険な可能性のある場所へ行くことを告げたのもこの状況がうまれている一つの要因となっている。

「そういえばいつ結婚するの?ずっと待ってるけど」

「何で急にそんな話を・・・・・・?」

「最近はいろんな所に行って私をほったらかしにしてるから」

「それは・・・・・・悪かった。だが、結婚は・・・・・・」

「やっぱり他に女が・・・・・・」

「それはない」

「じゃあ」

「もう少し待ってくれないか」

「またそう言って・・・・・・」

「悪い」

「もう待ちくたびれちゃいそう」

おもむろにローゼの肩を持ったレクスはそのまま軽く唇を重ねた。

「・・・・・・ズルいね、本当に。・・・・・・出来るだけ早くお願いね」

「ああ」



そして、準備と称された一日の休みはあっという間に過ぎていき、いよいよ森に入るときが来た。

「良いかい、くれぐれも気を付けてね。僕も精霊達と情報共有して危なくなったら助けに行くけどそれも上手くいくかはわからない。幸運を祈ってるよ」

「ああ、それでは行ってくる」

レクスが代表してそう答えた後全員で森に向かって歩き始める。


鬱蒼とした森の中で6人が固まって歩いている。

「そういえばカリアさんはどうしたの?」

「仕事場に送ってきた」

「そっか」

「一目では見分けがつかないからな別に王都内だったら住まわせても問題はないぞ。バレたところで王都なら私がどうにか出来るからな」

一王子が個人のために権力を使って良いのか?

まあ、差別の方がおかしいし別に良いのかな。

「それにしてもなにもないなぁ」

「エルフの管理とやらは完璧なのかもしれないな」

リーセスの声の通りこの森に入ってからまだ一度も魔獣に襲われていない。

レクスはそれを完璧と評したが僕は違う感覚を持った。

なんというかこれは人工的なものであって自然のものでないという印象を受ける。

そりゃあ目に入るものは植物だらけで自然が豊かなように見える。

しかし、何か押さえつけられているようにも感じられる。

完璧は普通良い方向に捉えられるが、自然が完璧であるのはそれはそれで違うように感じられた。

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