第213話

さて、一人増えた家の様子はと言うと、

「僕はリーセスや。よろしく頼むで、義姉さん」

「改めて私はレイです。よろしくお願いします。お義姉さん」

そのお義姉さんという2連撃にカリアは困惑しながらも少し照れていた。

「よ、よろしくね」

そして、カリアよりもお義姉さん呼びにダメージを受けている人物がいる。

「・・・・・・まだ、結婚してないんだけど・・・」

その人物とはもちろんノインであり、カリアへのお義姉さん呼びは同じ家で寝泊まりするということにすら動揺をしているノインにとっては恥ずかしいものだった。

「そんな堅いこと言わんと、まだ何やろ?なら別にええやろ、義兄さん」

「ごめん、それは私が恥ずかしいからやめて」

双子の感性は結構似ているのかもしれない。



その後、まだ空いていた一部屋にカリアを案内した後、ようやくノインは肩の力が抜け眠りについた。


翌朝、その家には良い匂いが立ちこめており、その匂いにノインは目を覚ました。

部屋を出ると同時にもう一つの部屋も開いた。

「あ、おはよう」

「お、おはよう」

ラフに挨拶したカリアに対してノインはどうしても緊張してしまっている。

「この美味しそうな匂いは?」

カリアの問いにはノインも答えられない。

今までここに住んできてこのような経験はない。

「台所を覗いて見ようか」

そう言って二人は台所を見に行った。



時は昨日の夜に遡る。

「サプライズって何するんや?」

レイの部屋にて二人が話していた。

「今から用意するのは無理だし・・・・・・」

「なら、豪華な料理でも振る舞ういうのはどうや?そんなら僕も手伝えるし」

「え?料理出来たんだ」

「まあな、振る舞ったのことはリゼイルさん達以外ないけどな」

「知らなかった。でも、それならそうしよっか」


そして、翌朝早起きした二人は台所に集合し、朝食を用意し始めた。


手際よく食材を切っていくリーセスを見ながらレイも準備を進めていく。

「手慣れてるね」

「まあ、小さい頃は毎日やってたからなぁ」

「今度私にも作ってね」

「そんなら今、味見してみるか?」

リーセスはおもむろに右手を何かにツッコむ動作をすると右手が消え引き抜くとその手には何かを持っていた。

「それは?」

インベントリを知っているレイはそこまでそれに驚かずその持っているものについて聞く。

「携帯食として持ち歩いとったんや」

「いただきます」

レイはリーセスが持っている箱の中から黄色い棒状のものを一本取り出し口に入れる。

咀嚼を始めた瞬間目を見開き頷きだすレイ。

その様子に口に合った事が分かったリーセスはホッとしながら朝食の準備を再開したのだった。


その様子を途中からこっそり見ていた二つの影は気付かれないように引き返していき同じ部屋に入っていった。

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