第217話

「拘束まではしない。だが、警戒はさせてもらう」

一瞬で切り替えたようにキリッとそう言うレクス。

「警戒してもらう分にはこちらの落ち度もあるから仕方ないよ。さて、それじゃあ昼食を食べに行くんでしょ?行ってきなよ」

そこまで聞かれてたんだ。

「それでは失礼する」

レクスはあっさりとそう言い昼食に向かおうとこちらに視線を向けてくる。

この時間に精霊王がなにかしないか警戒しなくて良いのかな?

そうは思ったが、レクスがそこのところを考えていないわけはないと思ったため頷き昼食に向かうことにする。



精霊王の間から出て、

「昼食はどうする?各自で食べるか?それともここでまとまって食べるか?」

先頭を歩いていたレクスが振り返り皆に聞く。

「どっちでもええで」

「私もどっちでも」

リーセスとレイは特別各自で食べたいとは思ってないようだ。

「俺も・・・・・・別に・・・どっちでも・・・・・・」

ノインは明らかにそう思ってないだろ!

病人の演技は上手かったのに嘘下手すぎだろ!

「一人ぐらい増えても良いぞ?」

多分全員気づいていたがレクスが代表してそう言うと、

「・・・・・・後で呼んでくる」

素直にそう言った。

「皆で食べるなら良い案があるけど」

そう言ってまだ意見を述べてないマイを見ると、

「私も皆で食べることには賛成なんですけど・・・・・・」

「けど?」

「ローゼさんを呼ばなくても良いんですか?」

その言葉にハッとした様子のレクス。

また、忘れてたな、これ。

色々、考えることがあるから何かを忘れてしまうことはあるのは分かるけど、婚約者の事を忘れるのはな。

まあ、職業病みたいなものなのかな?

レクスは今後も定期的にローゼさんに怒られそうだな。



そして、二人を加えた僕たちはライウの森の開けた場所に来ていた。

花は咲いてないけど外で食べることにしたのだ。

今日は寒いから普通なら寒くてやらないのだが、魔法があるので温度は管理できる。

更に言えば雨でもやろうと思えば出来る。

それに需要があるのかはわからないが。

「それにしても凄い量の料理が入っていたのだな」

「まあ、一応亜人の聖地に来る前にいっぱい溜めといたからね」

張り切りすぎて食べきれない位作った自覚はある。

なんというかマイと二人で作るのが楽しすぎてやり過ぎた。

なんなら精霊王が会いたがっていると聞いた時から念のため作り始めていたので本当に量が多い。

良い案と言ったのは、食べきれないものを食べてもらえると言うのと無料で食べられるというWin-Winの関係だからである。

まあ、インベントリ内にあるから腐ることはないけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る