第210話

引き返した後の船旅も特に問題もなく終わりをむかえそうである。

そうなると誰がノインを呼びに行くかという議論が始まった。

ノインを迎えにいくということは二人の時間を予告していたとはいえ邪魔することになる。

その役目の押し付け合いが繰り広げられていた。

「私はウェンテライウの王子として来ている。面子というものがあるから私は残念ながら行けないな」

その役目の押し付け合いにはレクスまで参加していた。

「別に一瞬なんだから問題ないだろ?僕はやっぱり移動魔法を覚えたての皆の方が良いと思うけど」

「おお、そやな」

僕の案はリーセスもその役目を逃れられるものであったためすかさず同意を意見を出す。

「私は遠慮しときます」

マイは理由は言わずにただただ断るだけだ。

まあ、変な理由をつけてそれに反論されると行かざる終えなくなるから妥当な判断だと思う。

マイからお願いされたら断れないかもしれないけど・・・・・・



急にノックが聞こえてきた。

「迎えが来たんじゃない?」

「そうかも」

ノインがそう答えながら家の扉を開く。

「失礼します。ノインを迎えに来ました」

丁寧にそう告げたのはカイだった。

あの後理由がなかったマイと決まったのだが、マイの上目使いの懇願によりカイが代わりに迎えに行く事になった。

脳内で考えていた時点でフラグが立っていたのだろう。

まあ、そのお陰でマイの上目使いを拝むことが出来たのだから良しと・・・・・・なんか考え方が変態みたいだな。まあ、プラスでとらえられるときはプラスでとらえていた方が精神的に楽だ。



その後、移動魔法で船のレクスとノインの部屋に移動した。

「あれ?何でここに?」

ノインからは疑問の声が挙がるが恐らく皆がいる部屋に移動すると思っていたからだろう。

「ノインは病人設定だから体調悪そうにしててね」

「え?」

「そういうわけだから後ちょっとの時間はこの部屋から出ちゃダメだよ」

そう言いながら有無を言わさずその部屋を出て魔法で中からは開かないようにしておく。

後はノインの演技力次第だ。

以前見たときは結構様になってたし何とかしてくれるだろう。

最悪の場合リーセスの幻惑魔法でノインを調子が悪そうに見せることは出来るが、お世話になってる方達に幻惑魔法をかけるのは気が引ける。

バレそうになったときは使わなければならなくなるが、初めから使うような作戦は立てたくなかった。

そんなこんなで船は亜人の聖地へと帰ってきた。

ノインの体調が悪い演技は迫真の演技だった。

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