第209話

あの後結局カリアの家に帰ることになったノインとカリアはまだ魔物の被害がある可能性を考えて移動魔法で帰っていた。

カリアの会社の二人には移動魔法について知られてしまっているため使うのを躊躇う理由はなかった。


「そうなんだ。ということはもう少しの間こっちで過ごすんだね」

家ではノインが事情を説明しもう少し滞在することを伝えていた。

「うん、期間は分からないけど」

「不謹慎なのかもしれないけど嬉しいな」

この事態が起きているためにもう少し滞在することになったのだが、理由はどうであれノインがまだ身近にいるということが嬉しかったカリアはそう思ってしまう。

対してノインは少し残念そうにしている。

それに気づいたカリアはその意図を問う。

残念そうにされると何かあったのかと心配になってしまったのだ。

「いや、嫌なわけじゃないんだけど・・・・・・」

「けど?」

その言葉に安心しながら続きを促す。

「この騒ぎじゃあ好きなタイミングで会えないなって」

気恥ずかしそうにそう言うノインにカリアはそっと微笑んだ。

「それでも近くにいるってだけで良いって思えるようにならないと・・・・・・私から離れられなくなっちゃうよ?」

「それは・・・・・・」

確かにそうかもしれないと思ってしまうノインだが、カリアはそう真面目に考えてしまうノインを見て笑ってしまう。

それでノインもからかわれたことを理解して反撃することにした。

「じゃあ時間があるときに一緒に会社に行こうかな」

「それはやめて」

人をからかうのにはあまりなれていないノインだったが、良い切り札があったため反撃に成功する。

「そういえばミリアは?」

「多分今頃学校でやっていなかった宿題をやらされてるんじゃないかな」

「そうなんだ」

そういえば宿題云々の話をしていたなと思いだし苦笑いを浮かべるノイン。

「先生にも迷惑をかけて・・・・・・」

カリアはまるで母親のようなことを言っているが、本心はそれよりも家にいないことへの感謝で一杯だった。もちろん口にだした言葉も嘘ではないが。

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