第207話
「ああ、カイさんにマイ。どうされたんですか?レクスが居ないようだけど」
「レクスは後で来ますよ。自力で」
「自力で?」
「移動魔法を習得したんですよ、レクス自身が」
「そうなんですね」
予想通りローゼさんの目が輝いている。
「喜んでいるところすみません。ちょっとお話しがあります」
何かマイが怒っている。
凄い冷気が隣から・・・・・・僕は触れないようにしよう。
「どうしたんですか?」
ローゼさんには心当たりがないようだ。
「何であの事を王子にまで話したんですか?」
「あの事?ああ、あの押し倒してキスしたみたいになったという話のことですか?」
「わざわざ声に出さないでください」
そんな説明の仕方してたんだ。
でも確かにあの体勢ははたから見たらそういう風に見えるかもしれない。
「貴方は言わずにもしレクスとカイさんがキスすることになったら耐えられますか?もしかしたらそのまま同性という壁を乗り越えて・・・・・・」
「そんなことするかぁ!!」
流石にツッコまずにはいられなかった。
というかローゼさんはどこでそういう知識を学んでいるんだ?
「ほら、この必死さが逆に怪しいでしょ?」
「た、確かに」
納得しないで。
「すまない、遅くなった」
このタイミングでレクスが来やがった。
なんというか腹をくくったようだな。
「レクス、移動魔法を覚えたんでしょ?これでいつでも会えますね」
先程の話はレクスが移動魔法を覚えたという嬉しさにかき消されたようだ。
あの話をレクスと聞くのは流石に嫌だった。
弁明しようにも必死だって逆に疑われるし身動きがとれなくなる。
「私達は邪魔だろうから一旦家に戻ろう」
「船じゃなくて?」
「一応様子を見ておきたくて」
「分かった。じゃあ、ごゆっくり」
ローゼさんとそのローゼさんに抱きつかれているレクスにそう告げ家に移動する。
◆
家はやはり何の変わりもなかった。
当然鍵とかもかけているためほとんど不安は無かったのだが。
「じゃあ、船に戻る?」
「ちょっと待って」
「どうしたの?」
何かあったのかな?
「さっきの話本当になったりしないよね?」
まさかまだ疑われていた?
「そんなことあるわけ無いじゃん」
「本当に?」
逆に何でそんなに疑っているのかを聞きたい。
「本当だって」
「じゃあ、船に戻ろう」
一回食い下がってきた割にはあっさり引いたな。
◆
その頃レクスの部屋では帰りが更に遅くなることを伝えたレクスはそれならと毎日帰ってくるように約束させられていた。
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