第155話魔化した獣人
そして、それぞれ休みの日を過ごしてから再び集まり獣人の王に会いに来ていた。
前と同じような道順で謁見の間へと行き、入ると
「待ってたぞ。そろそろ来る頃だと思っていた。魔化した獣人を捕えている場所を知りたいのでしょう?」
「ああ、その通りだ」
なんで獣人の王は当然のように知ってるんだ?それになんでレクスはそれに驚いてないの?
「案内をしよう。ついてきてくれ」
二つの疑問が頭の中に浮かんでいたが次に起こったことに驚きそれを忘れてしまう。
獣人の王が立ち上がると立ち並んで綺麗に壁になっていた木の一部が動き新たな扉が出来たからである。
ちなみに謁見の間に入るための扉とは根本的に違う。
こちらは完全に木を動かしている。
ついその非常識な光景に呆然としてしまう。
「おい、行くぞ」
なんでレクスはずっと冷静のままなんだよ!
そう思いながらもついていくとそこには木で出来た天然の檻の中に獣がうじゃうじゃいた。
パッと見だが50位はいるんじゃないだろうか。
「これが?」
「そうだ」
魔化した獣人とは人の容姿ではなくなり知能も低下しているという。
しかし、何故か魔化した獣人同士は仲間意識があるのか互いに争うことはないらしい。
「本当に出来るのかな」
数を見て再びマイが不安になったようだ。
そんなマイの手を握り向き合う。
「大丈夫」
シンプルな一言、だけどそれが一番伝わりやすく安心するものだ。
「やってみます」
そう言って獣人の王に目を向ける。
「ああ、頼む」
マイは檻の近くまで行き目を閉じる。
檻の中では近くに獲物が来たことで今にも檻を突き破ろうとしている。
いつ突き破ってきても良いようにこちらも警戒する。
すると、感覚で死神の目が片方でたことがわかった。
しかし、その感覚はすぐさま消えた。
自分でそうしたわけではなくこれは野生の目の暴走の時にマイに助けてもらったときの感覚に近い。
檻の中を見てみると50人以上の獣人が横たわっていた。
どういう原理かわからないが全員服を着ていた。
「彼らを戻してくれたこと感謝する。それと精霊王から伝言だ。獣人の魔化の真相は海底にある可能性が高いそうだ。いつでも良いから来るようにとのことだ」
その言葉に今まで冷静だったレクスが露骨に顔を背けた。
なんで?
今日のレクスはやっぱりなにかおかしい。
「俺はこの獣人たちの身元を調べないといけないから失礼する」
レクスがまた顔を背けた。
どういうこと?
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