第156話移動魔法

その後、レクスの不可解な行動について言及することは出来ず一旦宿に帰ることになった。

その道中、マイはすごくふらついていた。

いち早く気づいた僕が体を支えると安心したのかそのまま気を失ってしまった。

僕とマイが止まったことで、皆も異変に気づき止まる。

「おい、大丈夫か?」

「わからないけどとりあえず宿に帰ろう。僕は悪いけど・・・・・・」

「ああ、先に行って良いぞ」

「助かる」

正直なところ許可をとるよりも先にマイを寝かせたかったのだが焦る気持ちを抑えて許可をとった。

以前のレクスのことがあったおかげで少しは冷静な状態を保てている。

移動魔法で部屋に戻りマイを寝かせる。

それにしても後ろにいた僕の死神の目まで抑えてしまうとは・・・・・・

それに以前暴走したのを抑えた時より時より断然と疲れている。

数が多かったからだろうか。しかし、自分で言うのも変だが僕の暴走よりも魔化した獣人の方が軽度なものという印象を受けた。

なんなら全てを合わせても同等位、感覚だがそう感じた。

ということは通常ここまで疲れることはないはず。

情報を組み合わせこうなった原因を考え始める。

新たな魔法を作るときによくこういう考え方をするのだがそれが癖になっているのかもしれない。

そう思いつつもある仮説をたてた。

マイは力を完全には制御できておらず力を無駄に多く使ったのではないだろうか。

後ろにいた僕の死神の目まで抑えたのが良い例だ。

そのためにここまで疲れた、仮説にすぎないが筋は通っている。



少し時間が経ってから部屋の扉がノックされた。

出てみるとレクスがいた。

「他のみんなは?」

「ああ、さすがに大人数を連れてくるのもどうかと思ってな。スタールの調子はどうなんだ?」

「まだ目が覚めてないからなんとも」

「そうか。とりあえずスタールが目覚めたら報告してくれそれまでは休みにすると皆にも伝えてある」

「わかった。ありがとな。それで、お前を王城に送れば良いんだろ?」

「そのつもりはなかったんだが・・・」

「そう、いってらっしゃい」

移動魔法を勝手にかけるがレクスは移動しなかった。

「あれ?」

「何かしたか?」

しかも全然なにもされた感覚はなかったようだ。

「いや、移動魔法かけたんだけど・・・・・・不発?」

「今まで、そんなことあったか?って、勝手に送ろうとするな!」

「ちょっともう一回」

そういって移動魔法を使うがやっぱり使えない。

なんだろう、同意がないと送れないのかな?

「なあ、移動することに同意してみて」

「だから、なんでそこまで送ろうとするんだ?」

「いいから、いいから」

もう一度魔法を使うとレクスの姿は目の前からいなくなった。

どうやら移動魔法には同意が必要らしい。

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