「元」面倒くさがりの異世界無双

第153話

「それで、どうしたの？」

「ああ、少し体調を崩していた者がいたみたいでな。休みを一日伸ばしたのだ」

レクスが体調が悪かったのをカイだと明言しなかったのはカイに無理をさせてきたんじゃないかとローゼに問い詰められるのを回避するためだ。

「大変だったんじゃない？大丈夫だったの？」

「ああ、幸いもう熱もないそうだから念のためだ」

「もしかして、熱が出たのってカイさん？」

ギクッという音が聞こえそうなほどレクスの顔にはっきりと現れていた。

「・・・・・・何故そう思った？」

なんとか言葉を出す。

「まず、話を聞く限り全員熱があったと自分から進言する人はいないでしょう。ということは密接な誰かがその人のことを気遣って発言したのでしょう？とすると二組に絞られる。更にそこから何故か今日の夕方マイさんも一緒に迎えに来た。カイさんの体調を考えて同行したと考えるのが自然ね」

少ない情報から真実にたどり着くローゼ。レクスは内心ドキドキしていた。

それはこの推理力からローゼを惚れ直したというわけではなく怒られる可能性が高いためである。

身構えているレクスだったが怒られることはなかった。

◆

リーセスとレイは方針が決まった後リーセスの部屋に一緒にいた。

「言っちゃって良かったんですか？」

部屋について座るなりすぐにそう切り出すレイ。

レイはレクスが言える範囲と言った事からリーセスは言わないのだと思っていた。

しかし、ふたを開けてみれば普通に話してしまった。しかも率先して一番初めに。

「まあ、言わんでも良かったんかもしれんけど・・・・・・秘密を抱えたまま生きるんはしんどいで」

その言葉は妙に説得力があった。少なくともレイはそう感じた。

だからこそ思ってしまった。

「もしかして、今もまだ秘密があるの？」

その声は責めているというよりも心配しているという印象を受ける。

「・・・・・・そうやな」

答えはシンプルだった。だからこそ少し対応に困ってしまうが、

「それは私に話したら楽になる？」

レイは聞き出したいわけではなくただ単純にリーセスの辛さを軽減しようとしているのだ。

「どうやろな。どちらにせよ今まで秘密にしとったんは変わらへん・・・・・・」

「それで良いの？秘密を隠したままで」

レイは最後の確認をする。これでもその意思が変わらないのなら今後一切触れないようにしようと心に決めて。

リーセスも何となくその事を察してか中々答えることが出来ない。

「話して・・・みよかな」