第152話今後の方針
「今後についてか・・・・・・確かスタールならば魔化した獣人を元に戻せるのだったな」
レクスが最後に精霊王に言われたことを思い出すように言う。
「本当に私に出来るんですかね?」
それに対し少し弱気になっているマイ。
実戦経験が昨日の一回のみで少なく、また獣人にはしたことがないのが要因だろう。
「大丈夫だよ。マイなら出来る」
ここは体験した僕が励ますべきだろうと思い発言する。
「カイ君」
あ、なんかすごい嬉しそうにこっちを見てきている。
普段なら大歓迎だが、ここにはレクスがいる・・・・・・
と思っていたのだが何も言ってこない。あれ?
そう思いレクスの方を見てみると、
「おい、あの話を聞いた後になにか口出しできると思うか?」
なんか心まで読まれた。
「そろそろ再開するぞ」
レクスのその声が聞こえようやく再開する流れになった。
あの後はそのまま小休憩のような感じになり各々で話していた。
必然的にレクスとノインが残るがそう言う場面が増えたせいか二人も大分仲良くなったようだ。
その証拠に小休憩と言いつつ30分位は経過している。
「獣人の王にどこに魔化した獣人がいるのかを聞いてから行動しよう。明日からで良いか?」
あ、なんかもう終わりそう。これなら先に終わらせた方が良かったんじゃないかな。
「ちょっと待ってください」
決まるかと思った矢先以外にもマイから待ったの声がかかる。
「どうした?何かあるのか?」
レクスも予想外だったのがこの反応でわかる。
恐らくここにいる誰もがこれで決まると思っていただろう。
「昨日の夜カイ君はすごい熱があったんです。朝には引いてましたけどもう一日休みをもらえませんか?」
僕のことでした。
僕の中ではもう完治しているという認識だったのだがマイは不安が残っていたのだろう。
「そうだったのか?なら別に時間も決められているわけでもないのだし休むことにしよう。カイ、病み上がりで悪いが頼めるか?」
「ご機嫌とりか?」
レクスが言いたいのは王城に送ってくれということだろう。
僕は怒られそうになってる瞬間まで見ていたためご機嫌とりということはすぐにわかった。
というかそうとしか思えなかった。
「いや、ただ会いたいだけだ」
これはまた・・・・・・
「よくそんな恥ずかしいこと言えたな」
「お前に言われたくない!」
食いぎみでそう言い返された。
・・・・・・・・・確かにそういわれる心当たりは無いとは言えない。
反論できなかったためそのままレクスだけを王城に移動させた。
◆
あの後はそれぞれ宿の部屋に帰り、僕は一応ミリアに明後日から行動を再開することを伝えておいた。
明日からの予定だったから早朝に起こしに来られても困るからである。
それにしてもまた暇な時間ができてしまった。
前世では休みを目指して一週間頑張っていたが、今は休みの日にしたかったゲームはないため早急にどう過ごすか決めなければならない。こういうのはボーッと過ごしていつの間にか終わってしまったというのが良くある話だ。
「明日はどうする?」
「どうするって安静にしてないと」
マイに明日どうするか聞いてみたところ安静にしていろと返ってきた。
なんか過保護すぎじゃないですか?
そう尋ねてみると、
「もしあのまま倒れてたらどうするつもりだったんですか?」
真面目にそう言われた。確かにあれは危なくなる可能性もあった。
それこそあのまま悪化してたら・・・・・・
「ありがとう」
そう思うとマイへの感謝が溢れてきて抱き締めてしまう。
「あ、ちょっ」
あまりにも突然だったためビックリしてしまうマイ。
話の流れからは想像も出来なかっただろうから当たり前である。
◆
レクスはカイに王城の自室に移動させられるとすぐにローゼに迎えられた。
「・・・・・・ずっとこの部屋で待ってたのか?」
以前も来た瞬間にはもういたためその疑いがあった。それに先程出てから一時間以上は経っているため本来ならまだ帰ってくるはずではないのだ。
一応言っておくが婚約者とはいえ同じ部屋で寝ていることはない。職場体験という名の仕事の時は別だったが。
「ちゃんとやらないといけないことはやってるわよ。暇なときはここで待ってるの」
やらないといけないこと、ローゼの言うそれは広く言えば花嫁修行とも言えるだろう。
王妃になるということは礼儀作法はもちろん社交の場で恥ずかしくならないように様々な方面の知識を学び、更には他国間での出来事までも学ぶ必要がある。
この国の王妃は国王の支えとなることが通例であるため権力を得るため次期国王と結婚しようとする者は少ない。しかし、王子と同年代の貴族の少女は幼いときに親から王子に取り入るように言われるためわけもわからず王子を取り囲んでいる光景はよく見る。
王子には幼いときからその事を聞かされているためその取り囲んでくる少女以外から選ぼうとする。
レクスは運良く早めに婚約者が決まったため囲まれた経験は少ないが、大変なのは6歳から7歳の間だという。それ以降は徐々に王妃の在り方を知ってくるため落ち着いてくる。
そのため成長し、様々な方法で気を引こうとしてくる6、7歳の頃が大変なのだ。
「・・・・・・そうか」
そう言うことを思いだし改めてローゼに対する感謝を抱きつつもそれ以上言うことはなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます