第137話到着

「どうする?」

「なんとか出来ないのか?」

レクスは僕をなんだと思っているのだろうか。

「あの島に人がいるか確かめて渦の外まで連れてくることはできるけど、それじゃ解決にならないだろ?」

「それはそうだが今出来ることをすべきだ」

それもそうだ。この事件の解決を目指しすぎて人命救助をおこたろうとしてた。

何をやっているんだ、僕は。



移動魔法で渦の中にある島に来た。

するとすぐに人が見つかった。どうやらこの島に流れ着いてから魚を釣って生きてきたらしい。

そんな彼らに各々の船に乗ってもらう。

船は全て浜に打ち上げられており、梯子がないと乗り込めない感じだったため全員浮遊魔法をかけて乗せた。そのまま町への報告を彼らに任せ町の港に移動魔法で送ったのだった。



その後は浮遊魔法を使い空を飛んでいくことにした。

全員を飛ばしていくのは大変だと思っていたがリーセスが半分を肩代わりしてくれたため楽だった。


しばらくして、先程の小さな島とは比べ物にならないほど大きい大陸が見えてきた。

これでも僕たちが住んでいる大陸より小さいというのだから驚きである。


砂浜が見えたためそこに降りた。

もう、結構日が暮れかけている。久しぶりの大地の感触と共に少しの眠気が襲ってくる。

それを払い除けながら教えてもらっていた合言葉を叫ぶ。

「エン、ニニョルウォン!」

獣人族は耳が良いためこの声で出迎えるために近くの村まで来ていた担当の方が迎えに来てくれることになっている。それにしても意味がわからない合言葉だな。獣人族の言語かな?そう思い皆に聞いてみると、

「ああ、カイは知らなかったか。獣人族には独自の言語がある。だが、こちらの言語を話せる者もいるようだから心配しなくても良いぞ。まあ、私は話せるが」

なんかマウントとられた。ていうか他の皆も話せるのかな?そう思い皆に聞いてみると、全員話せないらしい。

「私は王家の人間だからな。いずれ獣人族と話すときに通訳を通してだと話しにくいだろう?だから話せるように学んだんだ」

心配して損した。初めからそう言ってくれれば良いものを。


しばらくして、何かがこちらに近づいてきた。

遠目に馬車のようなものだとわかるが引いている馬が見当たらない。

そう考えている間にも近づいて来ており徐々にはっきり見えて来た。

なんと馬車を引いているのは人の姿をしたもの、おそらく獣人だったのだ。

徐々に近づいてきているが止まる気配がない。大丈夫か?

そう思ったときにはもう遅かった。

手前で急ブレーキをかけるものだからこちらに砂が飛んできた。

「お待たせしました!案内役のミリアです!」

この先がすごく不安になってきた。

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