第135話馬車の旅
こうして各々自由に五日間を過ごし出発の日がやって来た。
今日からこの大陸の南端にあるサウンゴの町まで馬車での移動となる。
そこから海を越え亜人の聖地へと行く事になる。
サウンゴに着くのは数日後のためそれまではずっと馬車の旅だ。休憩はありはするもののお尻が痛くなるやつだ。最悪の場合浮遊魔法で浮けば問題はなくなる。寝ることもできなくなるが・・・・・・
馬車は二台で、僕、レクス、マイで一台、残りの三人で一台だ。
驚くべきことに引率はいない。理由としてはそんな一学期間も学校を抜けられる先生がいないからだ。
ロヴァイトさんならと思ったのだがこちらはこちらでギルドの仕事があると言い断られた。
しかし、マイが言うにはロヴァイトさんは獣人に苦手意識があるらしい。
なんでもロヴァイトさんの師匠が獣人でめっちゃ厳しい人だったらしく獣人を見るだけでそれを思い出すらしい。
この世界には亜人に対する差別意識があると聞いたことがあるが獣人を師匠に持つ人もいるんだな。
いままで亜人を見たことがなかったから相当ひどい差別があるのではないかと思っていたのだが。
なにはともあれこうして生徒だけの旅が始まるのだった。
◆
馬車の中。僕の隣にはマイ、対面にレクスがいる。
マイは相変わらずベッタリとくっついてきている。
「お前達仲が良いな」
その様子を見てレクスがその言葉をこぼす。
「なに言ってんだ?顔出しにわざわざ帰る王子様の言葉とは思えないね」
からかわれそうな予感がしたため先にからかうことにした。
「うっ、あ、あれはローゼが言い出したんだ」
「別に僕の魔法のことを教えなければ待っていてもらうことも出来ただろ?そうしなかったのは・・・・・・」
「わ、わかった。降参するからそれ以上言うな」
今までで一番の反応だったな。優越感がやばかった。
◆
一方その頃もう一つの馬車。
「眠いから寝るわ」
そう言うノインは欠伸をしながら目を閉じる。
そうしてすぐに眠りについた。
ノインとしては二人きりの馬車にしてあげたかったのだがもう一つの馬車にもカップルがいるため平等にするためにしょうがなくこちらに乗ったのだ。
そこで二人を邪魔しないように寝ることにした。幸い五日間こき使われていたお陰で疲れており、すぐに眠ることができた。
その時の夢がこき使われているときの夢だったそうで起きたとき寝起きだからか夢のせいか涙目になっていたらしい。
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