第128話リーセスとサイル
これはサイルとリーセスが少し抜けて二人で話していた内容である。
「どうしました?」
突然呼び出されたリーセスは当然用件がわからなかった。
「レイさんでしたか。あの子のことが好きなんですよね?」
リーセスはいきなり図星をつかれ硬直する。
「聞きましたよ。やってることは彼氏彼女がすることなのにまだ付き合ってないそうじゃないですか」
リーセスは何となくサイルが早く付き合えと言っていることを察した。
「はい・・・・・・」
しかし、易々とそれに応えることはできない。
今までに何度か挑戦しようとはしてみたものの直前でやめてしまうということを繰り返すばかりだった。
「しょうがないですね。良いですか?今日見ただけですがあの子は自分から告白できるような子ではありません。待つ側の気持ちも考えてあげてみたらどうですか?」
サイルはパーティーで代表して交渉や話すことが多い。
そのためか人を見る目は確かなものである。
「・・・・・・」
サイルの言葉にリーセスは返すことができなかった。
「少なからず彼女がリーセスに好意を持っているのには気づいていますよね?」
サイルはリーセスに対面の人の感情を読み取る手段を教えていた。
そのためリーセスは数度話したことがある人物に限り何となく感情がわかるようになっている。
リーセスは正直に首を縦に振る。
「なら尚更早くするべきですね。良いですか?この休み中に告白するんです。最終日になってまだのようでしたら僕たちが場を作るのでそこで告白してもらいます。僕たちの前で。それが嫌なら早くしてください」
「そ、それは・・・・・・」
「これは決定事項です」
これはまだリゼイルやリーリエには言ってないのだが勝手に断言した。
サイルのSな部分が垣間見えるやり取りだった。
「この話を僕から聞いたことはリゼイルには言わないでくださいよ。
これはあなたと初めて出会う1年前の話です。彼には恋人がいました。それはもう周りが見てられないほどラブラブで・・・・・・彼らが結婚するのも近いだろうと周りも期待していたんです」
リーセスはサイルから悲しさのような感情をひしひしと感じた。
「そんなある日彼女は急病によってなくなってしまったんです。その時僕たちは依頼で少し遠出をしていたので見とることも出来ず・・・・・・・・・当然リゼイルは落ち込んで半月ほどは仕事もままならず僕たちとですら最低限の会話しかしないほどだったんです。今では見ての通り元気に見えますけどまだ引きずっているのは確かですよ。早くくっつかないと後悔する、あの言葉が何よりの証拠です」
この話は告白を前に逃げてしまっていたリーセスの後押しとなるのだった。
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