第118話職場体験 4
ついに職場体験当日がやって来た。
ノインに行き先を聞かれたときはまたノインと一緒なのかと思ったけれど何故かリーセスさんと一緒になった。
嬉しいと言えば嬉しいのだがとても緊張して眠れなかった。
職場体験先の図書館は私がよく利用しているため受付の方とは顔見知り程度にはなっている。
実際今日行ってみるといつも利用してくれてありがとうと受付の方に言われた。
今日、明日は本の整理をする予定だ。
最終日には受付の仕事となる。
人とのコミュニケーションを得意としない私としては受付の仕事はあっていない。
しかし、図書館は静かにする場所のためコミュニケーションは自然と最小限となる。
◆
「今日はまずここの本棚の整理をお願いします。このように順番通りに並べ直したり背表紙を揃えてくだい」
「「はい」」
意図せず声が揃ってしまった。
それだけで鼓動が早くなるのを感じる。
「仲良いわね。もしかしてカップルなのかしら」
「ち、違います」
とっさに否定してしまった。
「本当かしら?」
と笑いながら受付の方は受付に戻っていった。
「さて、始めよか」
「う、うん」
リーセスさんはそんなに気にしてない様子で作業に移り始めた。
私もそれに習う。
しばらく経った後。
棚の最上段の本を整理するために手を伸ばす。
しかし、少し届かない。
しばらく奮闘していると、
「なんや、届かへんのやったら言うてくれたら良かったのに」
そう言いながらリーセスさんが私が整理しようとしていたところをやってくれた。
「ありがと・・・」
「な、なんや、困ったことあったら言うてな」
そう言いながら新たな棚へと場所を移すリーセスさん。
その姿をつい目で追ってしまう。
ふとそれに気づいて自分も次の棚へ。
それ以降リーセスさんは先に最上段の整理をしてくれた。
◆
翌日。
今日もまた本の整理である。
昨日とはまた別の場所でこの辺りの棚は私でも最上段が届く位の高さである。
整理を始めようと本に手を伸ばした瞬間横からリーセスさんの手が重ねられた。
一瞬で鼓動がこれ以上無いほど高鳴る。
「わ、悪い」
「い、いや・・・・・・全然・・・良いよ」
すぐにリーセスさんが手をのけたが体感時間はとてつもなく長く感じた。
◆
そんなどこかのラブコメのような展開が繰り広げられていた頃。
「ノイン君、その荷物をこっちによろしく」
「はい」
そうして荷物を運んでいると、
「あ、ノイン君それ終わったら僕のところに来てくれる?」
「分かりました」
荷物を運び終え先ほどの男性のところへ向かう道中。
「ノイン君、今空いてる?」
「すみません、セルドさんに呼ばれているので」
「会頭に呼ばれてるのか。悪いね、邪魔して」
「いえ、それでは失礼します」
二日目ということでノインはセルド商会でこき使われていた。
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