第117話職場体験 3
今日は職場体験ならぬ普段とほぼ変わらない仕事をしなければならない。
めんどくさいからと後回しにしていた護衛の面接。
普段の護衛はカイで良いが国家間の交流の時にいると威圧していると思われる。
こちらにそのような気がなくてもだ。
だからその時の護衛を決めなければならないのだが気が進まずめんどくさくなっている。
今回の件はそれを強制させる意味でも一石二鳥だったのだろう。
そしてなぜか婚約者のローゼも一緒に面接することになっていることには驚いた。
厳正な審査を抜けたものしか来ないとは言え危険がある可能性は充分にある。
私にはカイの魔方陣があるため不意打ちをされても大丈夫だろうがローゼは違う。
父上が知っていたら止めるだろうとこの事を話したが、元々知っておりなんなら発案者であった。
理由を訪ねても婚約者に聞けの一言のみ。
言われた通り聞いてみると概ね予想通りの答えが帰ってきた。
それは学校が始まるとなかなか会えないからというもの。
もし、嫌なら学校まで会いに行くとまで言われてしまった。
さすがに冗談だとは思うがその方が危険性が高い。
そう思い今回は一緒に面接をすることにした。
◆
丁度昼食時になった頃。
今日の分の面接はすべて終了した。
そうなったのはこの仕事は普通休みを結構入れても二日もあれば終わる仕事で職場体験は三日間。
この差をなくすためだ。
そして、ローゼの目当てはこの午後からの時間である。
普段学校やらなんやらで中々会えないレクスと合法的に一緒に過ごせる時間。
婚約しているとは言え気を抜いてはダメなことを恋愛小説から学んでいるローゼはレクスとは出来るだけ長い時間交流することにしている。
疎遠になってそのまま婚約破棄という話も読んだことがあったためにというのもあるが本当のところはただただレクスと一緒にいたい、それだけだろう。
レクスいたってもこの状況を嬉しく思っている節がある。
今回の件で反対していたのはあくまで面接に襲撃者が紛れていた場合危ないからだ。
レクスもこの世界では強い方に入るのだろうが近くにその上を行く者がいるためその事をよく理解している。
ローゼを守りきれなかった場合レクスは王族としての責務として別の者と結婚しなければならない。
それはレクスにとって想像もしたくない未来だ。
しかし、だからと言って面接に参加させないわけにはいけない理由があった。
ローゼも違う学校の職場体験でここに来ているのだ。
ローゼが通っているいわゆるお嬢様学校では貴族として民がどのような仕事をしているのか教えるために職場体験学習が取り入れられている。
そしてたまたま同じ日であることに気づいた国王と王妃が根回しをしどちらの学校にも定員一名で募集したのだ。
その日を含めて三日間ローゼがレクスの部屋に泊まっていたことが王城内で話題になったが二人はただ添い寝をしただけだったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます