第104話帰宅
自分のテントに帰るとすぐにマイに出迎えられた。
どうやらすごく心配していたようで涙目になっていた。
これは後で何かした方がいいかもしれない。
そう思っていると話がリーセスのことになる。
ずっと隣に浮かせっぱなしだったのを忘れていた。
「その人、死神の使者だよね?どうしたの?」
どうやらそこまで前のことは気に止めてなかったらしい。
「ちょっと成り行きで・・・・・・」
「何か隠してない?」
鋭い。
だけどまだこれはどうするか分からない。
「そんなことないよ」
「そう?なら良いけど」
疑われてはいるが今のところは誤魔化せたようだ。
僕の今までの行動はソラの頼みを果たすため。
それは今も変わらない。
それに死神がなぜ僕にあの目を与えたのか、
なぜ僕をこの世界に転生させるように仕向けたのかそれを直接聞きたい、
という私情が加わっている。
回答次第では・・・・・・
「ちょっとレクスのとこ行ってくるわ」
「待って、私も一緒に行く」
さっき誤魔化した意味がなくなるのだがどうにも断れそうではない。
若干抵抗してみたがどうにも出来なかった。
というわけでレクスのテントへ。
そこには何故かクラブメンバーからベン先生、ロヴァイトさんまでいた。
しかし、その事情を訊くよりも先にリーセスのことについて話さなければならなさそうだ。
皆の視線がそちらに集まりロヴァイトさんとレクスは警戒している。
以前、死神の使者と戦っているからだろう。
事情を説明し、彼の罰をせめて延期して欲しい事を伝える。
「何故お前がかばうのだ?」
レクスのその疑問はその通りだ。
「死神の情報を聞き出すためだな」
皆が固まる。
「・・・・・・聞き出してどうすんだ」
沈黙を破ったのはノインだ。
黙っている皆も同じ事を聞きたいのだろう。
こういうときに声を上げるのは僕には出来ないので素直に尊敬する。
「さあ」
ふざけていると思われるかもしれないがこれは本当だ。
自分でもどうするか分からない。
そして創造神のあの言葉も引っかかっている。
死神の目だけではない。
もしかすると死神はそのことを知っている可能性がある。
そのためにも会わなければ・・・・・・
それでどうなるかは分からない。
敵対する可能性もあるし逆に友好的かもしれない。
「さあってお前・・・・・・」
「僕にもまだ分からない」
「まあ、分かった。そいつについては善処する」
「あ、それと一応こいつドラゴン討伐で活躍したからその辺もよろしく」
これは気まぐれだ。
まだ信用しきっているわけではないが操られていたというのが本当だとすると冤罪みたいなものだ。
信じているわけではないからこそそのことは言わず事実のみ伝えた。
「なるほどな。了解した」
レクスはなんとなく意図を理解してくれたらしい。
「話は変わるけどなんで皆ここに集まってるの?」
「あ、いや・・・・・・それは・・・」
あれ?何か様子が・・・・・・
訊かない方が良かったかな。
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