第75話帰宅後の会話
家に帰るとすぐにマイから何があったのかと問いただされた。
僕が焦って王城に向かったから心配だったのだろう。
ことの顛末を話すとマイはローゼが無事であったことをホッとしていた。
と同時に、
「お見舞いに行かないと」
「あ、ちょっと待って」
「何で?」
「今は多分近づけない雰囲気だから」
「そんなにピリピリしてたの?」
そっちじゃない。
普通に考えればそっちかもしれないけど。
「そうじゃなくて、その………甘い雰囲気だから………………」
「あ、それは邪魔しちゃダメだね」
どうやら伝わったようだ。
奥の手としてここでその雰囲気を再現するというものが有りはした。
しかし、そうすると真面目な話をする雰囲気では無くなるため使いたくはなかった。
「ついに帝国が進軍を始めたんだね」
「そうだね。まだ規模とかは聞いてないけどもしかしたら魔獣も居るかもしれないね」
「私達も行かないといけなくなるかな?」
そう言うマイの顔は不安そうだ。
「大丈夫だよ。危なくなったら僕がなんとかするから」
「なんとかって………………無茶はダメだよ」
「分かってるって」
本当かと言わんばかりにジト目を向けてくるが僕だって1度死んでいるからって死が恐くないわけではない。
だからこそ1度は大丈夫なように………………………
これは無茶に入るな。
出来るだけ使わないようにしよう。
それにしても今回の件が帝国によるものだとして何が目的なのだろうか。
確かに毒見役がいなかったのなら格好の獲物になるだろうが得がない。
レクスがもう国王になっていたのなら有効だっただろうがまだ王子。
頭に血が上っても指示を出す立場ではない。
あるとすれば周囲の国々にウェンテライウ王国は次期王妃すらも守れないと噂を流し帝国側についてもらうということだが、今までの帝国の動きからしてそんなに回りくどいことはしないだろう。
協力させたいならその国に侵攻し脅迫する方が早いだろう。
帝国が怪しすぎて逆に違う可能性も考えたが動機がありそうな人や団体はいない。
少なくとも僕が知る範囲には………………
僕の知っている範囲が狭いので普通にいるのかもしれないが。
まあ、あのレクスの様子からして帝国の他に心当たりはないのだろう。
この時点で僕の中では帝国がこの件の犯人となっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます