第73話レクスの焦り
「すまない。王城に早く来てくれ」
そう言って腕を引っ張ってくるレクス。
普段冷静なレクスとしてはとても珍しい。
ただ事ではないことを察する。
「マイ、王城行ってくる」
家の中に向かって大声で言い外に出る。
と同時に風魔法で頭上に壁を作り雨を防ぐ。
その際風の流れを背中の方向にすることにより雨が背後にしか落ちないのが便利な点だ。
そう考えている間にもレクスはガンガン進んでいくため事情を聞けない。
王城についても止まること無く進んでいく。
するとある一室についた。
2人の兵が扉の前に立っている。
「早く開けろ!」
レクスは相当気が立っているらしい。
2人の兵もその声に一瞬ビクッと体を震わせつつも扉を開ける。
扉が開いた瞬間目に映ったのはベッドで苦しそうにしているローゼさん。
「おい、何があったんだ?」
「毒を盛られた。なんとかしてくれ」
怒りを無理やり静めて話しているのか言葉が冷たく感じる。
僕毒なんて治したこと無いんだけど………………
ってそんなことを言える雰囲気でもないためローゼさんに近づき今の様子を確認する。
見た感じで分かることは息が荒く、熱がありそうなこと。
回復魔法はかけるとして肝心の毒をどうするかが問題だ。
毒は毒で制すって聞いたことがあるけど毒魔法なんて知らないし、あったとしても恐くて使えない。
………………あっ!浄化魔法ならいけるかも。
ゲームには毒だけ治す魔法とかもあったりするけどイメージしにくいんだよね。
その点浄化魔法ならアニメとかでも見たことがあるからなんとか再現出来るかも。
浄化魔法のイメージが脳内で完成しそこから応用していく。
魔法の同時発動が出来るからこその技だがまず回復魔法を全体にかけ始める。
そしてその回復魔法に浄化魔法を混ぜていく。
やってから思ったがこれが混ぜるな危険ってやつだったら終わってた。
レクスが慌てていたのにつられて僕も冷静さを欠いていたのかもしれない。
魔法をかけ続けていると次第にローゼさんの息の荒さが治まってきた。
そこで一旦魔法を止める。
薬も多すぎると毒になるって言うし。
これで治まるならまた魔法をかければ良い。
「大丈夫なのか?」
魔法を止めた瞬間レクスから声をかけられる。
「まだ分からない。だけど一応呼吸は戻ったから多分大丈夫。ところでどうしてこうなったの?」
貴族とかには毒見役みたいなのがいると想像してたんだけど。
「ああ、ローゼの毒見役はこの王城にいなくてな普段は私と同じ物を食べるのだが、後がけのソースに毒が入っていた」
お好みでソースを選べるような料理で違うソースを使ったのかな。
それでレクスの毒見役はレクスのソースしか毒見しなかったと。
「でも誰が毒を入れるんだ?」
「入れた人物は特定されているんだが捕まえる前に自殺していた。しかし、その人物にローゼを殺す動機が無い。裏で何者かが手を引いていた可能性は高い」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます