第43話森へ

大分時間が過ぎ、もうそろそろ夏休みに入る頃。

帝国が戦争の準備をしているが難航しているらしく今のところなんともない。

その間にウェンテライウ王国側は友好国へ救援を要請し、その時が来たら協力してくれるらしい。

そんな状況ではあるが学校生活は普段と変わりない。

そして、ある行事が始まろうとしていた。

それは森への遠足。

魔獣を狩りながらになるのでサバイバル訓練と言った方がしっくりくるかもしれない。

一泊するらしいし

森は僕が前住んでいた森だ。

名前をライウの森。

ライウは雷雨ではなくただ単にウェンテライウから取っているだけのようだ。

まあ、この森は魔獣が出たとしても大抵下級。

稀に中級もいるが本当に稀だ。

4年半位この森をウロウロしていたが会ったのは1度のみ。

学生の実習にはちょうど良いだろう。

また、安全の為に5人以上で班を組むことは義務となっている。

というわけでクラブメンバーでの活動となった。

それ以外の生徒とはほぼ関わりがないのでしょうがない。

僕はコミュニケーション力はそれ程高くない。

前世でも友達は本当に少ない方だったし、仕方ないと思う。

それに友達を作る機会も無かったし。

……………言い訳じゃないよ。うん。

ということで今森の中を進んでいる。

「グルル」

っとちょうど魔獣が出て来たようだ。

下級のスモールウルフの群れのようだ。

数は5体。

「誰がやる?」

「誰でも良いんじゃないか」

「だからこそ困るんだよな~」

「じゃあ俺がやって良いか?」

そう聞いてきたのはノイン。

他にやりたいという人がいないのでやって貰うことにする。

ノインが一歩前に出るとスモールウルフがノイン目掛けて突進してくる。

それと同時にノインが土魔法を使いスモールウルフの足が地面に埋まり固定される。

スモールウルフの動きが止まったのを確認し、周りに被害が出ないように出来るだけ小さな火魔法で一体ずつ仕留めていく。

ノインのイメージは考えなしにでかい魔法を放ってそれで仕留める感じだった。

それが意外と周りが森ということを考えて火魔法を出来るだけ小さいものにしていた。

他の魔法にしなかったのは火魔法が一番得意で他よりも繊細操作が出来るからだろう。

脳筋的な考え方じゃなくて良かった。

今思えば何で僕はその疑いがある人に任せたんだ。

いくら困っていたにしてもちょっと考えてからにしよう。

誰にもバレずにカイだけ反省していた。


少し時間がたち夕方。

泊まれる場所を見つけ時々魔法を使いながら拠点を作ったので雨風や魔獣の心配も無い。

夕食はインベントリに材料を入れていたので問題なかった。

拠点は魔法を使いながら作ったので個室もあるので分かれて寝ることにした。

「カイ、スタール」

「うん?」

「なんでしょうか」

レクスに呼び止められた。

「寝不足になるなよ?」

「なっ、何言ってんだ」

若干眠くなっていたがこの発言により完全に目が覚めてしまう。

「何だ?今からするであろう事を私に説明して欲しいのか?」

「こんな場所でしねぇよ!後、これ一応授業だし」

「そうなのか?まあ、するにしても声は抑えてくれよ?じゃあまた明日な」

そう言ってもう興味がないと言わんばかりに自分の部屋に入っていく。

そこに反論する余地は無かった。

双子にもその会話を聞かれており、

「俺は別に気にしないからすれば良いんじゃないか?」

「私もとやかく言う立場ではないので」

そう言いながら双子達も自分の部屋に入っていく。

その後、僕達はすぐに寝た。

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