第41話レクスとの会話

「レクス、話がある」

会話が落ち着いた頃僕はあの事を話すことにした。

「どうした?急に改まって」

話したのは転生とかそういう諸々の話。

マイやロヴァイトさん、ミサリーさんに話した内容とほぼ同じだ。

話し終わった後レクスの表情は驚きではなく納得したという感じだった。

「何で驚かないんだ?」

「お前の力は異常だからな。人外の生物と言われる事も覚悟していた」

「それはひどくない?」

「そうですよ」

マイも賛同してくれた。

いくら普通より強くても人外は無いだろ。

「そうか?最上級の群れすら容易に討伐出来る奴が普通の人間だとは思えんな」

「た、確かに」

えっ!マイに裏切られた?

いや、これは裏切られたというより言い返せないためか。

そっちの方が傷つく……………

それを察したのかマイがフォローしてくれる。

「そのおかげで王都が無事だったんだから私は、いや多分あの場にいた人は皆感謝してると思うよ」

「ありがとう、マイ」

傷ついたのが一瞬で治るように感じる。

「お前ら私がいることを忘れてないか?」

……………あ、すっかり2人の世界に入ってしまっていた気がする。

「まったく、人前では控えろよ」

「あ、ごめん、もう手後れ」

「なっ!?」

「お前が来たとき留守だったろ?実は買い物行ってたんだけど周りから嫉妬や羨望の視線をめっちゃ感じた」

そう言った途端マイは少しムスッとした。

うん?僕何かやらかしました?

「その視線を感じる位私との買い物はつまらなかったんですか?」

あ、これはすぐに弁解しないとヤバいやつだ。

「い、いや、僕は元々その視線を送る側に近かったから気持ちが分かるというか……………」

マイは少し考えた後笑顔になった。

「ということは前世では彼女いなかったんですか?」

「その通りだよ。なんならいたことすらない」

なんか自分で言ってて悲しくなってくる。

「不謹慎かもしれないけど私が初めての彼女なんでしょ?嬉しい」

僕が悲しくなってるのは感じたようだがそれよりも嬉しかったのが勝ったようだ。

「だから私がいるのだが」

あ、また2人の世界に入ってしまっていたようだ。

「まあ、これで帰るとするか。お邪魔のようだしな」

そう言ってレクスは帰っていく。

最後の一言は余計だったが引き止める用もなかったので否定はしなかった。

それは置いておいて、転生云々の話をするのはこれで最後だ。

理由としては他にも信頼出来る人はいるけど別に無理に教えなくても良いと思う。

逆に無理に教えたらそれを他の誰かに聞かれる方がダメだ。

例を出すとすれば、ノインやレイ、ベン先生は話すとすれば学校となる。

学校で話すと周りの生徒、先生に聞かれてしまう。

次にアゴットさんは、暇なときはずっと練兵場にいて、当然他の警備軍の人達もいるので中々話せない。

後は国王様位だが謁見の間で会うとしても周りの側近の人達や護衛がいる。

城で偶然会うにしても護衛は必ず1人はついている。

ちなみにスタール亭は結構良いお店なので個室の防音性は高い。

なので周りから聞かれる心配がなかった。

別に学校の生徒達や警備軍の人、王様の護衛を信用していないわけではない。

生徒達はともかく他の人達は国に雇われている方達。

だが、かと言ってこの秘密を話すほど信頼が出来るとも言えない。

言うなれば、学校で周りからの評判の良いが話したことのない人がいていきなり秘密を言えるかと言われればほとんどの人が嫌だと言うだろう。

それと同じ感じだ。

いくら評判が良かったり、国が雇っていたとしても自分が実際に話したことがなければ秘密を聞かせるのに抵抗があるのだ。

と言うわけでもうこの秘密を打ち明けることはないだろう。

とこっちに思考をとられていたが帝国が動き出したらしいから何か備えはしておくべきかな?

最上級の群れを倒せる国に攻めてくるとなるとそれ以上の戦力があるのかもしれない。

ただこの世界の人の強さを考えると人ではない何かということになる。

となると……………

「何考えてるの?」

「帝国の戦力がどれ程なのかなと思ってさ。何かあれば僕達も出ないといけなくなるかもしれないし」

「でも、そんな戦力を持ってたらもっと早く攻めてきたんじゃないかな」

答えが速いことから僕がレクスと話しているときには考えついていたのだろう。

遠慮して言わなかったのかもしれない

「確かにそうかもね」

しかし、その戦力が有るにしろ無いにしろ戦争が起こるのはほとんど間違いない。

次第と空気が重苦しいものになっていく。

その空気に耐えられなくなってこの話はまた今度ということにして一旦話を終わらせる。

こうして時間は過ぎていき休日は終わっていった。








カイ達が休日を過ごしていた頃。

皇帝になったリセイド=エゼイルは怪しい人物と密会をしていた。

「策を聞かせて貰えるか?リーセス殿」

怪しい人物はリーセスと言うらしい。

「名前を呼ぶのはおやめ下さい。新皇帝様。

それは後ほどにしておくとしてその策というのはですね……………」

そう言いながらそのリーセスは幻惑の魔法をバレないように使い始める。

(チョロいな。前皇帝は全然効かなかったがこれは思ったよりも早く……………)

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