第40話帝国の様子と買い物

翌朝。

2人の目が覚めたのはほぼ同時だった。

お互いに目が合い笑い合う。

それがその日のスタートだった。

幸せを感じつつ朝食の準備を始める。

その日も休みだったため2人で一緒に過ごすことになった。








少し時は遡る。

ここは帝国、皇帝の自室。

そこでは他の者にバレないように皇帝と何者かが話していた。

「そこを何とかウェンテライウ王国を攻めて頂けませんか」

「今までよく貢献しているお主の頼みとはいえそれは聞くことが出来ん」

「何故でしょうか?せめて理由だけでも教えていただけませんか」

「お主になら良いか。まず理由の1つは目に見える好機が無いこと。そして一番の理由だが……………お主が一番理解しているのでは無いか?もし、理解した上で攻めよと言っているのなら叛逆罪になるぞ」

「チッ何でこの皇帝は幻惑が効かねぇんだよ!」

そう言いながら皇帝と話していた何者かは一瞬で距離を詰める。

当然皇帝の自室に武器を持ち込むことは許されて無い。

そのため魔法を使うようだ。

皇帝の首に一瞬触れる

その者が使った魔法はこの世界に有るはずの無い魔法である毒魔法。

皇帝は攻撃されたことを知覚することなく死んだのだった。

それを見届けた何者かは周りに誰もいないことを確認しその場をさる。

皇帝の死体が見つかるのはその日の夜のことだった。

もちろん帝国上層部はパニック状態になったが、皇帝の実子であるリセイド=エゼイルが皇帝に名乗り出た。

もちろん否定的な意見も多かったが、さすがの帝国の貴族。

前皇帝より操りやすいと考え次第に賛成する者が多くなった。

その手のひら返しは商人が利益が無いと思っていたものが急に高価になった時のようだった。

こうしてリセイド=エゼイルが新皇帝となるまでそう時間はかからなかった。









僕は今、マイと買い物に出かけている。

昨日の事があってかマイが腕を組んできている。

良い感触なのだが周りからの視線が痛い。

どこの世界にも相手に恵まれず相手がいる者を羨ましがる人がいることが鮮明に理解できた。

もっとも前世の僕はその視線を送る側だったので特に言い返せない。

それに自分が恵まれていることは理解している。

中学の頃はまだ女子とも話す機会が多かった。小さい学校というのもあるが同学年全員が友達みたいなそんな感じだった。

他学年にしても全員と面識があったりする。

それだけ田舎の学校だった。

しかし、高校に入ると同学年の数はだいたい8倍くらいになった。

そうなると自然と男子は男子同士、女子は女子同士で話すようになり、男女で話しているのはカップルかいわゆる陽キャと呼ばれる部類の人間。

陰キャは当然男女で話すことはほとんど…………

っとこれはブーメランなのでここまでにしておこう。

ちなみに言っておくと今世も学校で話しているのはマイとレイだけだ。

っとこの話を辞めようとしているのに……………

そんなことを考えている間にも買い物は続いている。

視線を感じながらも楽しい買い物の時間は過ぎていった。



そして家に帰るとレクスが家の前で出待ちをしていた。

この場合は帰り待ちという方が正しいのだろうか。

国語が苦手だったこともあり分からない。

そんな疑問は置いておいて声をかける。

「どうしたんだ?」

「見たら分からんか?お前を待っていた」

「それなら前みたいに中に入ってると思ったんだが……………」

「それはお前が一人暮らしだったからだ。さすがに女性も住んでいる家には何があっても許可無しでは入れん」

「配慮ありがとうございます。レクス様の言っていることは正しいですがレクス様を家の前で立たせてしまっているのは申し訳ないので次からは入ってお待ちください」

まだまだ敬語だが若干緩くなっている気がする。

大分レクスにも慣れたな。

そう思ったのはレクスも同じだったようで、

「感謝する。しかし、タメ口にしても良いのだぞ」

「それは出来ません」

なんかさっきよりも堅くなったように感じる。

完全に逆効果だったようだ。

そういう会話もしながら家の中に入り椅子を1つ追加する。

全員が椅子に座り少し落ち着いた頃本題に入った。

「今日ここに来た理由だが帝国が動き出した」

「詳しく聞かせてくれ」

「ああ、悪い。説明不足だったな」

そう言ってレクスが話した内容はこうだ。

自殺か他殺か分からないが皇帝が死ぬ。

その後を息子が継ぐ。

その息子が継いだ途端戦力をかき集め始め戦争の準備をしているとのこと。

その規模がウェンテライウ王国以外を攻めるにしては過剰過ぎるということ。

こんな感じだったのだがそれだと疑問が残る。

「あの最上級の群れは帝国の手引きだったんじゃないのか?」

「その可能性は高いが断言できるわけではない」

「だとしてもその噂位は流れるんじゃない?」

「そうか!確かに一般的には私の護衛達が倒したとなっているがそれだとしても最上級を討伐できる戦力があるということになる」

「だとしたら何で攻めてくるんだろうな?」

「確かにな。これでもなお攻めてくるとなれば……最上級の魔獣を操れる可能性があるな」

「だからこちらも徹底した準備をしたほうが良いかもな」

「了解だ。帰ったら伝えておこう」

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