第38話疑問の答え

想像していたよりきつくは無かったロヴァイトさんの訓練だがきついことには変わりない。

ベッドに入るとすぐ眠りについた。





もう何度目かになるこの光景。

「聞きたいことがあるんでしょ?」

ソラは当然のごとく話しかけてくる。

「何で分かった?」

「ごめん、ごめん、ちょっと覗いてみた。といっても覗いたのは思考の一部だけど」

「じゃあ単刀直入に聞くよ。

ロヴァイトさんって何者なんだ?」

「何で?」

「明らかにこの世界の人間のレベルとかけ離れているからだな。で、僕はソラに関係していると考えている」

「えっ!そこまで分かってたの?」

「当たり?」

「まずスタール家の先祖は小さき天使の守護者だったんだ。その役目はその後の代に続かなかったんだ。守護する力も引き継がれなかった。あのロヴァイトって人は言わば先祖返り的な感じかな」

そんな関係が合ったのね。

僕の予想では天使なら加護みたいなのを与えられるのかなって感じだったんだけど。

ってもしかして、

「僕をマイと引っ付けようとしたのって……」

「面白かったのが一番の理由だけど、

まあ、スタール家なら悪い人はいないと思ったからね」

面白かったのが一番というところが無ければめっちゃいい奴なんだけどな。

もしかして母親父親共に速く結婚しろって言うのは……………。

「あ、それに僕は関係してないよ」

「僕の中にソラがいることはバレて無いのか?」

「バレるはず無いよ。僕の力は弱まっているし、姿を見せてないし。まあ見せられないんだけど」

「そうなんだ」

「それに多分先祖の仕事は知らないだろうからね。そもそもその役目が継がれなかったのは僕が力を使いすぎて一時期寝込んでたんだけど、僕が目覚めた頃にはその先祖は亡くなっていたんだ」

「何かあったのか?」

「いや、ただ単に寿命がきたんだよ」

「そんなに高齢の人だったのか?」

「そんなわけないじゃん。僕が長い間寝込んでいただけだよ」

「長い間って?」

「う~ん、ざっと100年くらいかな」

「100年!?どんだけ力使ったらそうなるんだよ?」

「まあ、一大事だったからね。あんなやつとはもう戦いたくない」

ソラがそこまで言うなんて……………

ここで僕が感じていた疑問の答えを見つけた気がした。

「それって伝承に出て来る最上級より強い魔獣?」

「今ので分かったの?その通りだよ。まあ、倒すことは出来なかったんだけどね」

「じゃあその魔獣はどうなったんだ?」

「僕が封印したんだ。それに力を使ったせいで寝込むことになったんだよ」

ちょっと待て、封印ってことは……………

「ああ、その魔獣については大丈夫だよ。もうそろそろ創造神も起きるだろうし後100年以上は持つように封印してるから」

そうなのか。

良かった。ソラが苦戦して封印せざるおえなくなる魔獣なんて相手にしたくない。

「その魔獣がこの世界の強かった人達を一掃したって感じなのか?」

「そこまで推測してたのか……………

凄いね。ただそれは半分正解だね。

半数は確かに一掃されたと言ってもいい」

「じゃあもう半分は?」

「その魔獣対策の隊が編成されたんだけどそこで疫病が流行ってそれで半分死んだんだよ。幸い民間にまでは広まることが無かったけど」

なるほど、強い人が集まるところで疫病が流行ったから技術とかそういうのが受け継がれなかったのかもしれないな。

「そろそろ時間がきたようだね。教えられることは大分教えたと思うよ。てことでまた今度ね」

ソラがそう言った瞬間、僕は目を覚ました。

いつも通り少し時間が早い。

今回は疑問の答えを知ることが出来たし推測の答え合わせも出来た。

やっぱりこの世界の戦闘技術は一回0に戻った感じだったのだろう。

そして、ソラとスタール家との関わりについても知ることが出来た。

でも、先祖返りなんて本当にあるんだな。

結局は才能があるだけなんじゃないかと思ってたんだけどあそこまで周りと力の差があると先祖返り以外に説明出来ない。

でも、本当にこの時代に転生出来て良かった。

もし昔の時点で転生していたら生き残れてないかも知れない。

まあ、ソラのことは追々マイには話しても良いかもしれない。

そして僕が転生していることもいつか伝えないといけない。

いや、すぐにでも伝えるべきだ。

友達ならまだしももう付き合ってるわけだから説明しないといけないだろう。

気付けば今までソラのことを理由にして逃げていた。

こうしてカイは転生のことやソラのことを包み隠さずマイに話すことを決意したのだった。

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