第33話魔法実技2

あの後は先生の呼びかけで皆授業に戻り午後からは入学試験の時みたいな感じで魔法を撃つことになった。

試験の順位の逆の順番で撃つことになったので僕は最後だ。

僕はどれくらいの威力で魔法を撃てば良いのだろうか。

レクスの魔法より若干強めぐらいか?

たださっきあれだけ魔力を集めたのを見た人は納得しないよな。

かといって入学試験の時位の威力にしたとしてもあの時の様子が再来するだろう。

そんなことを考えている内にノインの番が来た。

本気の魔法は見たことがないので少し楽しみでもある。

クラブで威力を上げられるように訓練しているし。

選んだ属性は火のようだ。

まあ相手が木製なのでほとんどの人が火属性を選ぶけど。

威力としては試験の時のレクスより若干低いくらい。

それでも結構良い方だ。

実際ノインの魔法とその前の人の魔法の威力の差は分かりやすいくらいにある。

次はレイの番。

威力はノインとさほど変わらないが狙いが良い。

多分この違いで順位が決まったのだろう。

次にマイの番。

前の2人よりも強い威力で発射速度が速い。

そういえばこの3人には無詠唱で魔法を使うようにお願いしている。

無詠唱の方が使い勝手が良いから……………

ごめんなさい、聞いている僕が恥ずかしくなるからです。

次はレクスの番。

レクスは前みたいに火の魔法を使うと思っていたのだが雷の魔法を使った。

僕があるとき盗賊に使ったやつだ。

ちなみに僕が教えたとかじゃないよ。

元々使えたのか、見て覚えたのか……………

後者の場合は末恐ろしいな。

威力は前の火の魔法より少し強いくらい。

そして来てしまった僕の番。

なんかすごく視線を感じる。

皆こんな中でやってたのか?

いや、そんな雰囲気はなかったと思う。

やっぱりさっき魔力を見せたからかな。

これだから目立つのは嫌なんだよ。

これ以上目立ちたくないから威力とは違う方向で首席の力を見せるという感じでいこう。

ここでレクスより弱い魔法を使ったら何らかの不正を疑われかねない。

そこで実験してみることにした。

前に最上級の群れに魔方陣を使い放った魔法。

あれの縮小版を魔方陣を使わずにやろう。

とりあえず5属性でやってみることにした。

選んだ属性は火、水、風、雷、土。

イメージとしては前世でやっていたながら作業。

朝は食べながらニュースを見、ゲームのログインをするのが日常だった。

その他にも色々ながらでやっていたのでその感覚でやってみる。

そうすると簡単に出来てしまった。

前ほど色鮮やかではないがこの方が綺麗に見えるかも。

って攻撃に綺麗さを求めてどうするんだ!?

思わず自分でツッコんでしまった。

ただ7つの魔法を使えば虹を作れるかもしれないのは事実なので一回やってみても良いかもしれない。

そういえば威力を確認してなかった。

そう思い見てみると、5個の穴があいていた。

その内2つの穴は周りが焦げている。

残りの3つは削られているように見える。

多分焦げてる2つの穴が火と雷だろう。

これは良いぐらいだろう。

威力を出し過ぎることはなく技術という面で優れていることを示せただろう。

これで不正を疑われることもなくやり過ぎたこともないだろう。

そう安心していると周りの様子がさっきみたいになっていることに気づいた。

なんでだ?

さっきは笑っていたレクスとベン先生も含めクラブメンバーは苦笑いだ。

「さすがに魔方陣を使うとは思わなかったぞ」

うん?何か勘違いされてるな。

「魔方陣なんて使ってないよ」

「「「「「えっ!?」」」」」

見事に全員揃ったな。

ていうかなんで驚かれてんの?

「ちょっと待て、本当に魔方陣を使ってないのか?」

「ああ、だからそう言ってるだろ」

「じゃあ魔法の同時発動が出来るってのか?しかも5個も」

「うん、なんならもっといける気もしたけど同時発動ってすごいことなの?」

「知らないんですか?2属性の同時発動でも10万人に1人、3属性は過去に1人いた記録がある程度。それ以上は過去にいた記録はないです」

マジで?また目立ってしまったな……………

「付け加えると同時発動は威力が相当落ちると言われている」

「実用的ではないというのが世間の見解だ」

えっ!?あれでも威力出過ぎなの。

なんかもっと威力も出せそうだったんだけど……………これは言わないことにしよう。

引かれそうで怖い。

「あの本当に自重したほうが良いですよ」

また言われてしまった。

「後でお話しがあります」

いや、マイが怒ってる。なんで?

家に帰るのが不安になってきた。

こうして初めての魔法実技の授業は幕を閉じた。

すごく目立ってしまったがレクスの隣にいたので取り囲まれたりとかそういうことはなかったので良かった。

それよりも本当に家に帰るのが怖い。

そんな思いを抱えながらクラブ活動をするのだった。

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