第32話魔法実技
最後のお別れの言葉みたいなのが気になりはするが、まだお願いの説明もされてないので多分まだ大丈夫だろうと思うことにした。
覚悟はしておかなければならないかもしれない。
朝から悲しい気持ちになりかけるが同時に疑問も浮かんでくる。
ソラが望んだのはこの世界の本当の意味での平和、そして友を助けること。
後者は置いておいて前者を望むということはソラが何者なのか、前に精霊とは違うと言いそのまま明かさなかったソラの正体。
そこに理由があると思う。
今はもしやという程度だが仮説がある。
なんなら友を助けてくれということも関係すると思う。
しかし仮説でしかないためこれ以上考えるのをやめることにしよう。
そうしているとマイが起きた。
そして準備を始め学校に行く。
今日は初めての魔法実技の授業。
時間割的には丸一日だ。
というのも各クラス順番で行っているらしく
3×3の9クラスなので2週間に1回、多くて2回こんな日がある。
この授業は班活動らしく5人1組だ。
そして分け方は入学試験の順位。
お察しの通り魔方陣研究クラブの面々である。
あれからインベントリも覚え、使える魔法を全て魔法陣にしている。
そして今は魔法をより強く撃てるようになるべく訓練している。
これもう魔方陣研究クラブとは言えないかも。
そんなことは置いといて授業だ。
今回は初めということもあるため全力で集められるだけの魔力を集めることから始まった。
「僕も本気でやった方が良いかな?」
「どうした、カイ?本気でやれといわれているのだがら本気でやれば良い」
「別に本気でやるのは良いんだけど魔力酔いを起こす人がいるかも」
魔力酔いとは自分が集められる上限より10倍以上の魔力が集まったときに吐き気や目まい、ひどければ後日熱が出る可能性もある。
多数の人が各自で魔力を集めるのは問題ない。
それは、同一の魔力ではないからだ。
人によって魔力の解釈が違うため少しだが人それぞれ集める魔力が違う。
僕の場合はソラにずっとやらされていたので最近魔法を使い出したであろうここにいる生徒達より10倍以上集められるとだろう。
「そんなになのか?なら先生に相談してみるか」
「やっぱりそうした方が良いか」
こうして先生に事情を話したところ結界を張り周りに魔力が出ないようにしてやることになった。
何故こんなにあっさり決まったのかというとベン先生だったからだ。
クラブでそれなりに僕の魔法も見たことがあるのですぐに理解してくれた。
周りに魔力は出さないがどれだけ魔力が集まっているか確認できるようにするらしい。
結界を張ったことで注目を集め、全ての生徒が見学する感じになった。
本気でやると言った以上そうしないといけない。
全力で集めると前よりも集められる量が増えていることに気づいた。
最近はずっと街の中にいたので全力で集めることがなかった。
戦闘の時も街が近かったから自分で魔力を集めて魔法を撃つのではなく魔方陣に魔力を込めたので全力で集めてなかった。
ただ魔力を集める練習はしていた。
全力で集めなくても集めるだけで集められる魔力が増える。
以前の僕だったら1日でやめるところだがこの世界に来てから欠かさずやってきていたから習慣になってしまっている。
慣れというのは恐ろしいものである。
多分使い方違うけど……………
そんなことを考えていたら結界にヒビが入りかけていることに気づいた。
急いで集めていた魔力を霧散させる。
幸い結界に完全にヒビが入る前に霧散させることが出来た。
そういえば周りの反応を見ていなかったことに気づいき周りを見渡す。
すると、大半の生徒が口をあんぐりと開けているか腰を抜かしている。
少数苦笑いもしくは笑っている人がいる。
苦笑いしているのはマイ、ノイン、レイの3人
笑っているのはレクスとベン先生の2人だ。
見事にクラブのメンバーだけが笑っている。
3人が苦笑いなのが気になるけど……………
まあ他の生徒の反応に比べればマシだと思う。
ヒビが入りかけた結界から出るとベン先生を含めたクラブメンバーに取り囲まれた。
えっ!?何?
「さすがにやりすぎだぜ」
「……あの少し自重したほうが良いかと……」
「……………」
ノインにやりすぎと言われるとは……………
僕が言う方だと思ってた。
レイはあまり自分の主張とか言わないから珍しいけどその珍しいことが起こった要因が自分だからなんとも言えない。
マイは何も言わずジト目を向けてきている。
これはこれで可愛い………じゃなくて3人からこんなに言われるなんて。
本気でって言われたからやっただけなんだけどな。
「予想以上ではあったがさすが私の護衛だ」
「結界を張って正解だったな。もし張ってなかったらほとんどの生徒が魔力酔いを起こすところだった。耐えることが出来るのは俺とここに集まったメンバーがギリギリってところか」
こうして初めての魔法実技の授業は初っぱなから目立ってしまったのだった。
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