第27話入学式

「何がどうなってこうなったんだ?」

こう言うとソラは少し怒ったように

「最近君の睡眠浅すぎてここに呼び出すの大変だったんだよ!?」

「いや、そう言われても………言ってくれたら良かったのに」

「それが出来なくなったから呼び出したんだよ」

なんか色々聞きたいことがあり過ぎるな。

「順を追って説明するよ」

僕が考えていることを察したのか説明を始めた。

「途中までは普通に会話出来るくらい問題がなかったんだけどなぜか急に出来なくなったんだ。それで僕が住んでいるカイの精神世界に呼び出したんだ」

………これってもしかして

「『契約』失敗してたってこと?」

「それはないと思うよ。失敗してたら初めから会話なんて出来ないから」

じゃあ何でだ?

「結局のところ分からないんだよね。ただそのおかげで1つ思い出した事があるんだ」

思い出したこと?

「僕は君を転生させるのを誰かに頼まれてやったんだ」

「誰かって?」

「それは思い出せないんだよね」

「そうなんだ……………」

誰なんだろう。

「気になるよね。僕も気になってるけど思い出せない」

なんか心を読んで話されると調子がくるうな。

急に僕の体が透けていった。

「時間切れみたいだね。何か思い出した事があったらまた呼ぶよ」






目が覚めるとベッドの上だった。

ソラと話してすぐ目を覚ましたせいかいつもより早く起きた。

しかし、起きたタイミングが悪かった。

いつもより早いのでマイはまだ寝ている。

そこまでは良いのだがまた前と同じように後ろから抱きつかれていたのだ。

寝起きとは思えないくらい心臓バクバクです。

完全に目が覚めてしまった。

抜けようにも起こさないようにしなければいけないという思いがあるため中々抜けられない。

抜けるのは諦めて1時間位待つとマイが起きた。

「おはよう」

平静を装うことは出来たと思う。

「えっ!あ、おはよう。早いね」

「うん、ちょっと目が覚めちゃって」

「今から朝ごはん作るね」

「手伝うよ」

なんかこういうやり取りで和んでしまう。

この後は朝食を食べ魔法の練習。

そして午後からロヴァイトさんと模擬戦。

こんな感じの日々が続き入学式当日になった。

ちなみに合格発表は旅に行ってる間にあったが城の人が確認してくれていたみたいで僕、マイ、レクスは3人とも合格。

なんとなく察していたが僕が首席、レクスが次席だった。

そしてマイはその次の第3席だった。

期せずして入学試験トップ3が旅をしていた形になった。

首席になった僕は入学式で挨拶をしなければいけないことになってしまっていた。

それを王子様の護衛が王子様を差し置いて挨拶することは出来ないとかいう適当な理由で辞退したら簡単に辞退出来た。

ということで次席のレクスが挨拶することになった。

レクスもなんとかして辞退しようとしていたらしいが王子が辞退するような理由なんてそうそうないので諦めたようだ。

いつもなら直感で避けそうなものだが今回は忙しかったのもあり無理だったようだ。

なんで人から聞いたみたいに言っているかというとこの1週間レクスは忙しく王城にずっといたのであまり一緒にいなかった。

さっきの話を本人は言ってなかったが王城をうろついてた時にたまたま出会った王様が教えてくれた。

なんかめっちゃ気さくな人だった。

前謁見の間で会った人と同一人物だと思えなかった。


少し話がそれかけているので話を戻すが今は控え室にいる。

「面倒なことを押しつけやがって」

そう言うのはレクスである。

言う機会は他にも会っただろうにわざわざ今言ってきた。

「そう言われましてもレクス様を差し置いて挨拶をするなんて出来るわけありません」

「チッ、良い言い分を見つけたな。

それは良いとしていつも通り喋ってくれ。

違和感しかない」

「それは出来ない相談です。身分を隠されているときは良いですが、隠されてないときの人前ではこうしなければ」

「はぁ……覚えてろよ。必ず仕返ししてやる」

こいつ王子とは思えないこと言い出した。

そんなやり取りをしていると、

「準備が整いました。新入生の皆様はお並びください」

そして入学試験の成績順に並ぶと前にいた先生らしき人が前に進み式会場に入っていく。

僕もそれに続いてついていき言われた席に座る。

そして色々と挨拶などがあり、レクスの番がきた。

「今日この良き日に由緒正しいウェンテライウ魔法学校に入学出来たことを心から光栄に思います。」

ここってウェンテライウ魔法学校って名前だったんだ。初めて知った。

思っていたより普通の挨拶が続いていたが

「今年は私の護衛兼生徒として最上級すら簡単に倒してしまう者がいます。その者共々切磋琢磨し成長することを誓います。

新入生代表レクス=ウェンテライウ。」

ちゃっかり僕のことを言いやがって。

出来るだけ目立たないようにしたかったのに。

入学試験で結構話題になってたらしいからもう手遅れか。

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