第28話入学祝い
レクスの挨拶の後は何事もなく入学式が終わった。
その後は自分のクラスの教室に行くことになった。
この学校にはA、B、Cの3クラスありそれぞれ30人、35人、35人の計100人だ。
試験結果が良い人から順にA、B、Cと分かれるらしい。
なので当然僕、レクス、マイはAクラス。
教室に入ると担任となる先生の挨拶があった。
ベン=ケラーという23歳男性の教師だ。
見た目は眼鏡をしていて真面目で賢そうだと思った。
ただ話を聞いている内に以外と気さくな人だということがなんとなく分かった。
新任で教師になるまでは旅をしていたらしい。
担当は地理、歴史、魔法実習の3教科らしい。
いや、ハイスペックだな。
普通は1教科で多くても2教科でしょ。
挨拶の内容は大体こんな感じで次は生徒の番になる……………かと思ったが時間の関係で無かった。
今日はもう放課で明日から授業を始めるそうだ。といっても最初は校内探索みたいなことをするらしい。
そして、帰りは徒歩だ。
謎のレクスのこだわりである。
「お疲れさまでした、レクス様。良い挨拶でした」
まだ人が近くにいるのでこのしゃべり方だ。
それにこのしゃべり方の方がイジりやすい。
そして周囲からはそんな風には思われないという完璧なイジり方だ。
実際レクスも悔しそうにああと言うことしか出来てない。
勝ったな。
「カイ君もうやめたら」
マイにこう言われたのでもっとイジろうとしていたのをやめることにした。
「お前もう尻に敷かれ始めたのか?」
これは言い返せない。
早速やり返されてしまった。
その後はイジり合いもなく帰ったのだがレクスが去り際に最上級の群れの件でタキア王国は無くなる可能性が高いと言われた。
初めは説明を求めていたそうだが知らないの一点張り。
その後は門前払いで話が出来なかったらしい。
なのでもう武力行使しかないという判断になったらしい。
もし無関係だった場合は可哀想だと思うけどこの世界で最上級は自然災害と同等の脅威だと考えられている。
実際立ち向かえそうなのは相手にもよるけどロヴァイトさん位だ。
物理が効かない相手もいるだろうし。
他はギルドのAランクの人がどれだけロヴァイトさんに近い実力を持っているのかによって変わるがそんな人そうそういないだろう。
そんな最上級の群れがタキア王国から来たのだ。しかもタキア王国は被害が無い。
なので普段戦争を仕掛けたりしないウェンテライウ王国も警備軍を動かす準備をしているらしい。
こちらも被害が無かったとはいえこれで追及しなければ他の国になめられてしまう恐れもある。
またこれは国民を守るためでもあるため軍を動かすことが出来たらしい。
大国とはいえタキア王国周辺の国々への許可を貰っているようだ。
その国々も今度はこちらに魔獣が来るかもしれないと思っていたらしく許可だけでなく援軍を約束したり資金援助や武器の供給など様々な面で協力的だったようだ。
こうして着々と軍が動く準備が整っているそうだ。
レクスに言われたことを考えながら歩いていたら家に着いた。
その後は昼食を食べゆっくりし、夕食はスタール亭で入学祝いをした。
僕は参加しないつもりだったんだけどマイにすごく反対されて結局参加することになった。
ミサリーさんはずっと微笑んでいたな。
ロヴァイトさんはこれからまたギルドの仕事に励むそうで訓練がしたくなったら声をかけてくれと言われた。
自分から言いにいくなんて余程のことがない限りないと思う。
あれはソラの訓練とは違った意味で疲れる。
ソラの訓練は長い時間で限界まで、ロヴァイトさんの訓練は短い時間で限界までって感じだ。
ロヴァイトさんの訓練はソラのに比べれば早く終わるのだがその短い時間で限界ギリギリまでしごかれるのだ。
それを自分から受けにいくなんて考えられない。
そう思っているとミサリーさんが
「そういえばいつ結婚するの?」
と聞いてきた。
「まだ決めてません」
一応無難に返せたと思う。
「そうなの。じゃあはやく結婚しちゃいなさい」
「ちょっとお母さん、気が早いよ」
「そんなことないわよ。カイ君は良い人だし王子様の護衛だからお金もあるでしょうし」
「それに強いからな」
ミサリーさんの続きを言ったのはロヴァイトさんだ。
まさかこの話に入ってくるとは。
しかも肯定的に。
こういうのって反対されがちだと思うんだけど。
何故か真逆の反応だ。
「えっと……何か理由があるのでしょうか?」
こうもせかすということは何か事情があるかもしれないと思い聞いてみた。
「そんなの1つしかないわよ」
「「早く孫の顔がみたい!!」」
ロヴァイトさんもかい!!
しかも息ぴったりだし。
早く結婚して子供をつくれと言うわけだ。
マイは真っ赤になっている。
僕も同じくらい赤くなっていることだろう。
「えっと……善処します」
何言ってんだ僕。
その言葉でマイは更に赤くなりそれを見て僕も顔が熱くなるのを感じる。
こうして入学祝いは終わったのだった。
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