第22話最上級の群れ

急いで王都に戻るために出発した。

ナカルー王国の北にあるタキア王国を素通りし王都を目指す。

3日ほどで王都の門に後少しで着くというときに事が起こった。

初めに来たのは下級、中級、上級の魔獣。

馬車からおりその討伐を手伝ったまでは良かった。

「それにしてもなぜこんなに魔獣が……………」

レクスが疑問を口にしたときその答えが目に入ってきた。

最上級の魔獣の群れが急接近してきていた。

しかも一種類ではなく様々な種がいる。

違和感を感じるが考えている場合ではない。

防御の魔方陣を2つ出しレクスとマイに渡す。

「無茶だよ!!」

飛びだそうとした僕をマイが引き止めようとする。ただそれには応じることは出来ない。

王子を守ると決めたということはその王子が治めることになる国を守らなければならない。これは護衛になることを決めた時王城の人にそれ位の覚悟でやるんだと言われていた。

これが王都だけですんだらまだなんとかなるかもしれない。しかし、魔獣の群れはそう簡単には止まらないだろう。また、王都が魔獣におとされたら怪しい動きのある帝国に攻められるだろう。

なので魔獣の方へ向かった。

いかんせん王都が近いので威力の高い広範囲の魔法で一発なんて出来ない。

そしてマイを心配させないように手早く倒すことも意識して倒したい。

そこで良いことを思いついた。

インベントリから攻撃用の魔方陣で威力が高すぎないものから100個取り出す。

それを僕の前に浮かせて配置する。

全ての魔方陣に魔力を送ると、1つ1つの威力はそれほどでもないが色鮮やかな攻撃が魔獣を襲う。

1つでも魔法が当たると倒れていく魔獣たち。

魔法の攻撃が終わった後残った魔獣は3体だった。魔法に弱いやつ多くない?

ちなみにこれはカイの魔法が強すぎるだけである。通常の魔法の威力では通用しない魔獣達もほとんど魔法で倒してしまっている。

残った3体は本当に魔法が効かない魔獣のみだ。これもカイが本気で魔法を打てば無事ではいられないだろう。

残った3体はカブトムシの特徴とクワガタの特徴がミックスされたやつ、カマキリみたいなやつなのに鎌の部分がハサミのやつ、カラフルなテントウムシだ。

なんで全部虫なの?

ちなみに地球では考えられないほど大きくなってる。

カマキリみたいなやつなんて3メートルくらいの身長がありそうだ。

魔法が効かないだろうと判断したカイはインベントリから剣を取り出す。

そうしている間にも3体は近づいてきている。

速いのは飛んでいる2体。

どちらも突っ込んで来た。それを避けカイはその2体の間に立つ。それを見た2体は同時にカイに向かって飛んで行く。

スピードは自動車並みだ。

カイがちょうど良いタイミングで避けるとカブトムシかクワガタか分からないやつの角がテントウムシに突き刺さった。

その光景は正直に言ってグロかった。

しかし、これで一体仕留められた。

そして思っていた感触と違ったのかそこで止まっていたカブトムシかクワガタか分からないやつにしたから剣を突き刺しすぐにその場を離れた。離れ終わった瞬間元いた場所に落ちて来る。これで2体目だ。

後は接近戦をするなら手強そうなカマキリみたいなやつだけ。

2体を倒している間にこちらへと近づいてきていた。

そいつは思っていた戦い方をしなかった。

ハサミを持っているのでそれではさもうとしてくるのかと思っていたのだがそうはせず叩き潰そうとしてきた。初めの一撃は肝が冷えた。なんとかギリギリで避けた僕は相手のふところに潜り込み腹の部分を切りながらダッシュする。先端まで切り僕が下からいなくなった瞬間そいつは崩れ落ちた。

これで一件落着と思った瞬間背後から抱きつかれた。近づいていることに気づいて無かった僕は体勢を崩しこけかけるがなんとか耐えた。

「無茶しないって言ったのに」

抱きついてきたのはマイだった。

「ごめん」

それしか言えなかった。

護衛として動いたのは間違いないのだが軽々しく無茶をしないと約束したのは僕だからだ。

「許しません」

ど、どうしよう。これ嫌われた?

しかも敬語だから怒ってるし。

なんて返すのが正解なんだろうこれ。

「えっと……どうすれば許してくれる?」

「じゃあ王都に帰っても毎日会いに来てください。それが守れるなら許します」

え?何これすごく可愛い。

後、嫌われてないみたいで安心した。

僕は向き直り抱き締め返しながら

「そんなのおやすいごようだよ。約束する」

約束した。

「じゃあ許します」

お許しが出たようで安心した。

そこで周りの視線に気がついた。

旅に同行していた人達が皆生暖かい目でこっちを見ている。

そしてレクスとアゴットさんが近づいてきた。

「若いって良いですな」

「付き合い始めてすぐには思えんな」

マイは恥ずかしくなったのか僕の後ろに隠れてしまった。

「と、とりあえず王都に帰らないと……」

僕は話を変えようとした。

「それもそうだな。よし、準備しろ」

兵達が準備を始める。

その後僕達は馬車に乗り込み王都に帰っていった。

その馬車の中でイジられっぱなしだったのは言うまでもない。



無傷で魔獣の群れを討伐された。

そのしらせは怪しい人物にはすぐに届いていた。

「なるほど、やはりあの程度では簡単に討伐されてしまいましたか。カイ=マールス、厄介ですね。今後邪魔をされなければ良いのですが」

今回はタキア王国を滅ぼす事が目的だった。

タキア王国から魔獣を向かわせたのがその証拠だ。

「まあ、あのお方ならばあの男に邪魔されようとも大丈夫でしょう」

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