第23話マイの父親

王都に帰ってからは大変だった。

魔獣の群れの討伐より疲れたといっても過言ではないくらいに。

まず門の前が魔獣の群れが現れたという情報でパニック状態になっていた。

そこをなんとか抜け王城に着いたと思ったら事情聴取を長い時間された。本当はアゴットさんが聞く立場だが、アゴットさんもその場にいたため警備軍の副長の人に色々聞かれた。

そこまででも疲れていたんだがここから更に疲れることがあった。



事情聴取が終わると次はマイの家へと向かった。思いのほか危ない事が起こったのでレクスも一緒に来て謝るらしい。

本当にこういうところは真面目だよな。

営業時間は終わっていたらしい。

今回はマイの母親だけでなく父親もいた。

父親はとても腕の良い料理人なのだが、弟子が育ったため店を任せギルドで依頼を受けていたらしい。

料理だけでなく戦闘も完璧にこなすらしい。

二刀流だ。しかも結構別方面の。

一目見てただ者では無いことが分かる。

アゴットさんより強い可能性が高そうだ。

そんなことを考えていると真っ先にレクスが謝罪をした。

王子に謝られて居心地が悪そうにしていた2人だったが無事だったから良いそして頭を上げるように言った。

レクスは本当に申し訳ないと言いながら顔を上げた。

「これとは別にもう一つ話があります。

カイ自分から言えよ?」

これ付き合い始めた報告しろって意味だよな?また無茶振りを。心の準備出来てないって!

だがレクスがここまで言った以上後戻り出来ないので言うことにする。

「マイさんとお付き合いさせていただくことになりました」

ストレートにここまで言った時母親は微笑んでいたがマイの父親の方から殺気とまではいかないが向けられた人は常人なら腰を抜かすであろう威圧が飛んできた。僕だけに。

僕は最上級の魔獣に立ち向かったりしてるからその威圧を耐える事が出来た。

少しすると威圧がなくなった。

「合格だ。この威圧に耐えるとは何者だ?」

マイの父親からそう声をかけられた。

どうやら試されていたらしい。

ただまだ警戒は解いてないようだ。

「僕は王子様の護衛です。

それ以上でもそれ以下でもないですよ」

それを聞いたマイの父親はレクスの方に顔を向ける。レクスは本当だと言わんばかりに頷く。

「良い者を連れてきたな。マイ」

さっきまでの雰囲気がガラッと変わり優しい父親という雰囲気になる。

正直変わり過ぎてついて行けない。

「もう、あなたったら立ち振る舞いでカイ君が強い事は分かっていたでしょうに」

「強くても逃げ腰では意味がないからな」

何というか逆にこっちがマイの父親が何者なのか聞きたい。

その疑問が顔に出ていたのだろう。

「何か聞きたい事があるようだね」

「はい、貴方も相当な実力者とお見受けしますが……………」

「俺か?俺はギルドでは唯一のS ランクとして有名って位だな」

もちろんこの世界でもSランクが一番高い。そして唯一と言うことはギルドのトップの実力者ということになる。

ただ者ではないと思っていたけどこれ程とは。

「す、凄いですね」

「お前もその気になればSランクも余裕だろうに。俺をたてる必要なんかないぞ」

「いえ、僕はまだHランクですから」

「そうなのか?てっきりA少なくともBかと思ったんだが」

「護衛の仕事があるので余り依頼を受けることが出来てないので」

「なるほどな。それで今住んでいる家はどんな感じだ?」

なんでこんな質問するんだ?

まあ秘密にしているわけでもないし良いか。

「すごく部屋があって自分一人では充分に使えてないですね」

「よし、問題無さそうだな」

うん?なんか嫌な予感が………

「マイ、今日からカイ君の家で生活しなさい。この店に一日一回来てくれたら問題ない」

「えっ!?」

マイも驚いてるけどこの流れは以前にもあったな。

マイの母親と父親は似たもの同士のようだ。

こうして強引に同棲することになった。



というようにマイの父親の威圧を緊張しながら受けてたから精神的にダメージがあった。








帝国の謁見の間。皇帝と怪しい人物が話している。

「タキア王国は滅びそうだな」

「ええ、間違いなくそうなることでしょう。あの国は帝国と自国の間にウェンテライウ王国があるのを良いことに帝国にもう反発をしていました」

「ああ、その国をお主だけで操作するとは………やはりお前の主といいお前といいそなたらの力量は凄まじいな。余の配下になる気にはならぬか?」

皇帝は普段このような相手を尊重することはないのだが、怪しい人物とその主は特別らしい。

「お褒めにあずかり光栄にございます。しかし私はもう主様に忠誠を誓ってますので。

我が主が配下になるというなら話は違いますが……………」

こうやって皇帝の誘いを受けないことは他の人がやれば即死罪だ。

そうならないのはこの人物とその主の力によるものだろう。

「お主は変わらんな。しかし、いかに功績が合って実力者とは言え裏切ったらただではすまさんぞ。」

「ええ充分に理解しております。それでは失礼いたします」

「今回はよくやった」

こうして怪しい人物は去って行った。

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