第20話レスタリー王国

結局また2人で泊まることになりました。

前回と同じくベッドは1個。

今回はベッドで寝るように釘を刺されてから寝ることになった。

なかなか寝付けなかったがなんとか眠りにつくことが出来た。

寝不足なのは言うまでもない。

朝起きるとマイはご機嫌のようだった。

おそらく僕がちゃんとベッドで寝たからだろう。

「おはよう」

「あ、おはよう。もうすぐ朝ごはん出来るよ」

そう朝食を準備しながら返された。

なんだろう?めっちゃ夫婦っぽいやり取りでほっこりした。

その後朝食を食べ、準備をし馬車に向かう。

馬車に着くとレクスとアゴットさん以外は集まっていた。

少し待っていると2人とも来て全員揃ったので出発する。

出発した途端レクスが

「昨晩こそは楽しめたか?」

「おい、そろそろしつこいぞ」

「否定しないということは………」

「違うから!!」

「そうなのか?まあ良いか。次も2人部屋に泊まるだろ?」

これマイの前では断れない。それを分かってやってるなこいつ。

どう返そうか悩んでいると

「はい、お願いします!!」

と急にマイが答えた。

その答え方で積極的に2人部屋を望んだら誤解されるって。

僕は巻き添えを食らって恥ずかしくなった。

マイもそのことに言い終わってから気づいたのだろう。真っ赤になって固まっている。

「本当に仲が良いな、お前ら。赤くなるタイミングまでシンクロしてたぞ」

こんなやり取りが行われているこの馬車が向かっているのはレスタリー王国だ。

そこはマグニス共和国の南に位置し鍛冶師が多く住んでおり、作成したものを競い合う大会まであるらしい。

有名な鍛冶師もいて一点物で凄くお高い物もあるらしい。

前世の異世界のイメージでは鍛冶師といえばドワーフという感じだったがこの世界にドワーフはいない……………と思う。

ソラに貰った本にも書いてなかったし王都に出てからも聞いたことがない。

だからいない可能性が高そうだ。

馬車は休憩もはさみながら進んでいった。

そしてレスタリー王国が近づいて来たのはすぐに分かった。

白い煙が見えて来たからだ。

「お前達は今回も観光していて良いぞ」

レクスが僕とマイに言う。

「僕は護衛できてるんだよね?」

「そうだが別に護衛はアゴットで充分だからな」

「それなら何で僕を連れてきたの?」

「道中の話し相手だ」

「あ、そうですか」

感って言うと思ってたけど違う返答が来たからそうですかとしか言えなかった。

「それにお前も予定より長くスタールといれて嬉しいだろ?これぞwin_winの関係だ。 」

確かに嬉しいので言い返せない。悔しい。

国にはあっさり入れた。

もう夕方と呼べるくらいに日は陰ってきていた。

この国はさっきも言ったが鍛冶師が多くそのため武具や鎧などの防具の店が多い。

その他の店もあるのだが小さいから買い物にはあまりむかない。

観光名所とかもないだろう。

特にすることは無かったが2人でブラブラすることにした。

ブラブラしてると不意にマイが立ち止まった。

「どうした?」

「あそこ行ってみよ」

マイが指した店はアクセサリーの店だった。

特に行く場所もないので行くことにする。

「いらっしゃいませ」

久しぶりに聞いた気がする。この世界では店員が「いらっしゃいませ」と言うことが少ない。そんなことしなくても良い物は売れていくと考えているらしい。

元日本人としては他の店では言われないのでこの店は良い店だと思ってしまう。

実際置いてあるアクセサリーは良さそうなものばかりなのだが。

マイは店内に入るとすぐにアクセサリーを見始めた。

女性は買い物の時元気な人が多いよな。僕はマイに癒やされながらなのであまり苦に感じてないが他の人とだったら精神的にきつい。

嬉しそうにアクセサリーを見ているマイにある提案をしてみた。

「欲しい物があれば買うよ」

「えっ!そんな悪いよ」

「プレゼントだよ。それに……………」

自分が買ったアクセサリーを身に付けているマイを見たいなんて恥ずかしくて言えない。

「それに?」

「な、何でもないよ。ほら選んで」

「う、うん」

少々強引に話を変えたが追及はされなかった。それから店内を見て回ったがなかなか決められないようである。

「やっぱりカイ君が選んで欲しいな」

「えっ!?僕が?」

「うん、ダメ?」

「いや、良いよ」

とは言ったもののどれにしようか。

指輪はまだ早過ぎるだろう。といっても指輪以外もたくさん種類がある。少し見ているとふと目に入ってきたアクセサリーがあった。

それはネックレスで少し光っていて綺麗な黒い石が着いている。少しお高めだったが僕はこれしかないと思い、

「これはどう?」

一瞬目を輝かせたマイだったが

「高くない?」

「そんな心配はしなくて良いよ。気に入った?」

「うん」

僕はその返事を聞いて近くにいた店員さんに声をかけ買った。

付けていくので包装は断り僕が受け取った。

普通に渡そうとしたが

「か、かけて欲しいな」

とマイが言ったので僕がつけてあげることになった。

もの凄くドキドキした。

「あ、ありがとう」

「ど、どういたしまして」

そうこうしている内に時間が過ぎ予定していた宿に泊まった。

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