第19話マグニス共和国
次に行く国はマグニス共和国。
そこは大貴族と呼ばれる3家が権力を持っており牽制しあうと言う形で成り立っている。
日本の司法権、立法権、行政権をそれぞれ裁判所、国会、内閣が行っているのと同じだ。
その3家で全会一致もしくはその内の2家と大貴族までではないが他より力を持っている5家の過半数が合意すると決まる仕組みになっているらしい。
この世界での共和国はこの国だけらしい。
元々はあったらしいのだが、力の均衡が崩れて内乱が起きたり、他の国を巻き込んだ戦争が起きたりして無くなったらしい。
マグニス共和国だけはそのようなことはなく大貴族である3家の力はほぼ同じ。
後の力のある5家もほぼ同じ力のため上手く均衡が保てているらしい。
均衡が保たれているのはマグニス共和国の国民性が大きく関係している。
とにかく団結力が高いのだ。
他の言い方をすれば仲間意識が高い。
だから裏切りなどもほとんど起こらず、起きたら各方面から抗議が来るほどだと言う。
その国はエイル王国の西側に位置しやや小さい。
だが、団結力が高いためどの政策にも国内総出で行うことが出来るので凄く豊かな国だ。
そこに向かっていたのだが馬車が突然止まった。何事かと思い外に出る。
すると、馬車は5人の盗賊らしき人達に囲まれていた。
「通りたければ金目のもの全部置いてけ!!」
あ、完全に盗賊でした。
「お頭、さっき馬車から出て来た女上物ですぜ。」
女というのはマイのことだろう。
「そうだな。その女も置いていけ。」
その言葉を聞いた瞬間僕はキレた。
自分でも分かるくらいに。
冷静なら魔方陣を使うだろうがそうはせず自分で魔法を使い5人に雷を落とした。
死なない程度に加減はした。
キレてはいたが人殺しはしたくなかったのだ。
皆何が起きたのか分からず硬直している。
「……………この者達を縛り上げろ!!」
やっとレクスが命令をだした。
兵たちがそれに慌てて動き出し盗賊はあっという間に捕縛された。
「カイがやったということで間違いないな?」
一瞬だったので僕が魔法を使ったのを認識出来なかったのだろう。
「うん。間違いないよ。」
「はぁ。加減はしているようだが気絶させるだけでも良かったのだぞ。」
「いや、元々そのつもりだったんだけどマイを狙ってたからつい威力を上げちゃった。」
「カイ君」
マイが嬉しそうにこちらを見てくる。
やっぱ可愛いな~。
「まあ加減をしているから良いがスタールが狙われたからといって国を滅ぼすなよ。」
「しないよそんなこと。」
「どうだかな。『出来ない』ではなく『しない』だからな。スタールの身に何かあればお前は正気でいられるのか?」
「それは……………」
出来ないだろう。
マイの身に何かあったらそれだけで動揺することは確かだ。
「やはりな。スタールお前は出来るだけカイから離れるなよ。何かあれば国が滅ぶと思って行動しろ。」
言い過ぎだろとは思ったが否定出来ない。
「レクス様さすがにそれは言い過ぎでは……」
マイが助け船を出してくれた。
「さっきのを見ても言えるのか?お前が狙われていると分かった瞬間に魔法が発動している。狙われたのでこれだからな。何かあればどうなることやら。」
「た、確かに。」
「幸い相思相愛のようだからな。」
なんか改めて言葉にされると恥ずかしいな。それはマイも同じだったようで少し赤くなっている。
そんな会話をしていたらマグニス共和国の門が近づいていた。
今回は何事もなく入ることが出来た。
そして大貴族たちが待っているという会議場に行く……………と思っていたのだが今回は来なくても良いと言われた。
理由はエイル王国では最上級の説明もあったから来て貰ったが今回はそれがない。
そしてラブラブな2人を離ればなれにさせるのは心苦しいとのことだった。
前者はともかくとして後者はからかってるだろ。
まあデートしたことはエイル王国の1回だけなのでこれはこれで良いなと思い了承した。
夕食前に宿泊する宿の前に集合することを約束しわかれた。
着いたのは昼頃だったのでまずは昼食を食べに店に入った。そこは少し古めのレストランという感じでその店秘伝のタレみたいなのがあってもおかしく無さそうな店だった。
そういう店はお金がかかるのだが結構給料を貰っているので余裕で払える。
マイの分も払おうとしたら1度は断られたが彼女に払わせるのはかっこ悪いと言い払わせて貰った。
その後は街をブラブラ歩いた。
この国はこれといって特産品はないのだが全体的に良い物が多く普段の買い物をするにはとても良いと思う。
そうしている内に夕食前になったので集合場所に行く。
レクスたちは早めに来たのかもう待っていた。
「デートは楽しかったか?」
「やっぱりからかうのが目当てだったか……」
その後はからかわれながら夕食をとり、結局2人部屋でマイと寝ることになった。
僕は自分の理性が吹っ飛ばないことを祈りながらベッドに入るのだった。
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