第7話模擬戦をすることになりました
僕は今王城の一室にいる。
冒険者ギルドに行くために王都に来た僕は冒険者ギルドに行く前に王城に来てしまった。
だから身分証明書無いって。
こんなことになったのは当然王子様のせいだ。
魔法学校に行くための資金を調達するために冒険者ギルドで稼ぐ予定だと言うと、もっと良い仕事があるからと無理やり王城に連れてこられた。
まあ王城に来たということは怪しい仕事では無いことは確かだ。
王子様は今、国王陛下に話があると言い謁見の間に行っている。
つまり、この部屋には僕しかいないのだが、部屋の外に見張りが一人いる。念のためだそうだが今日初めて会ったやつを王城に見張り一人で待機させるって大丈夫なのか?
そう思っていると王子様がやっと帰ってきた。
「それで良い仕事って何なんですか?」
「敬語は辞めろと言っているだろう。
まあ、良い。その仕事に関してだが、実力を示したらやらせても良いと父上より許可がおりた。」
「分かったよ。敬語は辞める。それより実力を示すってどうやって?」
「何でも今、国軍の中で一番強い者と模擬戦をして勝ったら認めるとのことだ。」
「ちょっと待て。何で軍のトップと戦わないと行けないんだ?」
「それだけ責任がある仕事と言うことだ。心配し無くてもお前が勝つと私の直感が言っている。」
この人、勘で動く人か。まあ、前にソラが僕が軍に入ったら1、2を争うぐらいは強いって言ってたから、その感は当たってはいると思う。
そういえば王子様の紹介をしておこう。本名はレクス=ウェンテライウ。
赤髪で見た目はとてもチャラそうなのだが、王子様なだけあって中身はすごく真面目。
というのも街に出ていたのは、国王になる予定の者は王国内と友好国を旅するならわしがあり、その予行練習だったらしい。
その旅は極秘裏に行われるため知っているのは王国内の街を治めている貴族達と友好国の国王のみだそうだ。
このならわしの目的は見聞を広めること、貴族や友好国の国王に挨拶をし顔見知りになっておくことの二つだそうだ。
そして、バレないようにするために護衛も最小限にするとのことだ。
そんな国家機密的なのを僕に教えて良かったのだろうか。
結構話が脱線しているので元に戻そう。
「いつするんだ?」
「何でもお前の準備が出来たらすぐにでも始めるとのことだ。」
「準備ねぇ。武器はそっちで用意してくれるんだよね?」
「ああ、一応一通りの木製の武器は準備してある。しかし、カイは魔法使いなのだろう?武器はいらぬのではないか?」
「武術もある程度出来るからね。相手に合わせた戦法で戦いたいんだ。」
「そうか………。やはり私の勘は当たっているかも知れんな。」
「準備は必要ないかな。どこでやるんだ?」
「練兵場でやるそうだ。案内しよう。多分あいつもそこで待っているだろう。」
あいつ?ああ、軍のトップの人か。
やっぱりいかつい感じの人なのかな?
そう思いながらレクスについて行く。
そういえばレクスに呼び捨てで呼べとしつこく言われて渋々そう呼ぶことにした。
大国の王子を呼び捨てって…………。
今後がとても心配だ。
王城を出て数分歩いた所に練兵場はあった。すごく大きい。
何でも大きくないと機能しなくなるほどの人がいるらしい。
そんな練兵場に入ると、
訓練していたであろう人達は膝をついてかしこまっていた。
僕が入る前に案内していたレクスが入ったからだろう。
「皆楽にしてくれ。私はアゴットに用があって来た。」
「良くお越しくださいましたレクス様。話は聞いております。そちらの方と模擬戦をすればよろしいのですか?」
そう答えたのは軍のトップのアゴットと言う人なのだろう。中年でとても鍛えられた体をしている。多分魔法使いというよりは武術にたけた人なのだろう。
「ああ、その通りだ。父上にこの話を通すにはお前と模擬戦をさせること以外なくてな。迷惑をかける。」
「滅相もございません。私と致しましてもレクス様が目をかけられた方と模擬戦が出来ること光栄に思います。」
「そう言ってくれると助かる。それでは早速始めたいのだがよろしいか?」
「はっ!準備は出来ております。模擬戦用の武器もあちらに用意しております。」
そう指された所を見ると木製の武器が並んでいる。ソラとの訓練で使い方を習得していない武器は無さそうだ。
どれを選んでも善戦は出来るだろうけどアゴットさんがどれ程の使い手か分からないため、一番初めに習得し、他より経験が長い剣を選んだ。
そして、アゴットさんの前に立つ。少し離れた位置に審判がおり、周りは先ほどまで訓練をしていた者達が取り囲んでおり、審判と周りを囲んでいる人達の間にレクスがいる。
「初めまして、警備軍長を務めております
アゴット=ウォーカーでございます。」
この警備軍というのが国を守るための軍であり、同時に警察的な仕事をしているそうだ。
「こちらこそ初めまして、カイ=マールスです。まだ何故模擬戦をするのかよく分かっていないのですがよろしくお願いします。」
「説明されていないのですか?……レクス様のことです。何か考えがあるのでしょう。」
そうかな?多分、言ったら僕が拒否する可能性があるから言ってないだけじゃないのかと。
そこまで分かっていて何故模擬戦をするのか。
それは、僕のイメージの中の冒険者ギルドだとその乗りについて行くことが出来ないからだ。
喧嘩を吹っかけられるなんて日常茶飯事。
そんな生活を避けるために掛けに出たのだ。それにレクスとは仲良くなれそうな気がするし。
王子だけど…………。
「両者準備は良いですね?」
審判の人が聞いてきた。
アゴットさんと僕はそれに頷く。
「それでは、始め!!」
こうして模擬戦が始まった。
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