第5話旅立ち
「おい、ソラ!!返事しろ!!」
この時ソラは隠していたことがあった。それは、この契約が成功しても失敗してもカイの身に何も起こらないようにするためには、ソラ自身の命をかけなければならなかったこと。そんなことを言うとカイは自分の身はどうなっても良いと言い出すことは容易に想像出来る。そのため隠していたのだ。
ソラは死の淵に立っていた。そんな中、忘れていた記憶が溢れてくる。
それは、カイを転生させる数日前のこと。ソラの元に何者かが訪ねて来た。それが誰なのかは思い出せないのだが……
ある依頼を受けていた。
その依頼とは、数日以内にこの世界に適正を持つ転生希望者の一人を転生させ、強くして欲しい。
強くした後は自由にさせても良いし、お前の手伝いをさせても良い。
そんな内容だったと思う。しかし、ある懸念があった。転生させるにはすごく力を使うため転生が成功しても自分自身がどこまでもつか分からなかったのである。そこでその何者かとある契約をしたのだがそれもまた思い出せない。
そこまで思い出した時、その思い出したものがまた忘れていくような、夢から目覚めた時その夢の内容を忘れてしまうようなそんな感覚を覚えながら意識がはっきりしていった。
(うん?)
突然ソラの声が聞こえた。カイは呼びかけに答えないソラが心配で何もすることが出来ず結果、仰向けになり『契約』をした場所に座り込んでしまっていたのだ。
「大丈夫……なのか?」
ソラは何か大事なことを思い出せないモヤモヤをいだいていたのだがそれ以外は何も問題がなかった。
(最近調子が悪かったのが嘘みたいに元気だよ)
「やっぱり、実体にはもうなれないのか?」
(うん、そうだね。実体と喋れないと寂しい?そうだよね。そうなんでしょ。嬉しいな~そんなこと言ってくれるなんて)
こいつ、人の中に入って反撃がないことを良いことにめっちゃ煽ってきやがる。だが、少し安心したのは隠せない事実である。
(ということで明日から訓練再開ね。もっと厳しくしていくから覚悟してね。)
前言撤回。安心なんてしてる場合じゃない。ドS度がさらに高くなっている気がする。ただソラが助かったという事実が嬉しくてつい了承してしまった。
4年と半年後、この間の食料は森林の果物や動物の肉などでまかなった。衣類に関しては自分は長くないと思っていたソラが大きめの服まで用意していたのでなんとかなっている。訓練のことは聞かないで欲しい。思い出しただけで気を失いそうだ。
成果は武術の方もソラから言うことなしと言われた。魔法に関してはあれから面白いことが分かった。
ある日、そういえばこの世界には魔法があるのに魔方陣がないなと思ったのだ。
そこで、魔方陣を想像しながら魔力を集め、火の魔法のイメージをそこに書き込む感じで試してみる。
するといかにも魔方陣ってものが出来た。
何かに書いたりしたわけではないのだがそれなりの強度がある。
普通に触れるだけだと何も起こらないのだが、魔力を手に集め触ると僕がイメージしたとうりの火の魔法が出た。
そのことが嬉しかった僕は、これだと思い今使える魔法を全て魔方陣にしていくことになる。そして全て作り終わった時に気付いた。これだけ作っても持ち運び出来無ければ意味が無いことに。
そこで数時間あれやこれやと試していた時インベントリを作れば全て持ち運ぶことが出来ることに気付いた。ゲームではよくあったがこの世界には無いらしい。だが、そのときはどうしても魔方陣を持ち運びたかった。なので、いつもなら試さないであろうインベントリの再現をしようとした。それがなんと成功したため僕は今一瞬で魔法を打てるようになっている。
そんな僕は今ここを旅立とうとしている。
理由は前に出てきた魔法の学校に行くためのお金を稼ぐために近くの街に行くためだ。
何でも魔獣を倒すとお金が貰えるらしい。
魔獣と動物の違いだけど僕もいまいちよく分かってない。
とりあえず凶暴で強かったら魔獣だと僕は判断している。
半年で入学するためのお金を貯められるかは不安なのだが…………
なぜ面倒くさがりの僕が勉強しに行くんだって?僕は最後まで抵抗したんだけど、ソラに言いくるめられてしまったのだ。
そんなわけでこれから気の乗らない学校に行くための資金を集めに行くわけなのでとても憂鬱な気分だ。そういうわけで9年半過ごしたこの場所とももうお別れだ。
少し愛着もあるがこの世界初めての街に楽しみな自分もいた。
こうしてカイはこの世界初めての街に行くことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます