デートとは?
次の日、学校に着くと、クラスメイトたちがざわざわしている。どうやら、俺と桜井さんが一緒に帰ったことが話題になっているらしい。クラスメイトの一人、田中が興味津々で話しかけてきた。
「おい、健太、昨日由香ちゃんと一緒に帰ってたよな?もしかして何かあったのか?」
「いや、別に。ただ、ちょっと話してただけだよ」と俺は冷静を装ったが、内心は焦っていた。
田中は疑わしげな目で俺を見たが、何も言わずに去っていった。その後もクラスメイトたちの視線が痛いほど俺に突き刺さる。
放課後、由香が再び話しかけてきた。「健太くん、今日も一緒に帰らない?」
俺は一瞬戸惑ったが、すぐに頷いた。「ああ、いいよ。」
その日の帰り道、由香は突然真剣な表情で俺に向き直った。
「健太くん、実は私、あなたにお願いがあるの。私と」
ごくり。
「私と?何?」
「私と一緒に休日遊ばない?ほら、その、友達どうしだからっていうことね。深い意味はないからねっ」
なんですと!?
あ、遊ぶ。つまりデートということか。
デート?
「ああ、いいけど。友達だからね。今週の土曜日とかどうかなぁ?」
「わかった。楽しみにしてるねっ。渋谷駅に10時半ね。遅れたらジュース奢り」
俺に向かって指を向けると由香は、にっこりと微笑んで、俺の二の腕を軽く叩いた後に「遅れないでね。大事なデートなんだから」と小声で言い帰っていた。
夜になった俺は、これでもない、あーでもない。と衣装鏡の前で、マネキンごっこをしていた。何を着るかでこんなに悩んだのは初めてだ。由香とのデートが近づくにつれ、緊張と期待が入り混じっていた。
土曜日の朝、俺は早めに家を出た。電車に乗り、渋谷駅へ向かう。10時半に約束していたが、少し早めに着いておくことにした。駅に着くと、由香は既に待っていた。彼女は普段の制服姿とは違い、カジュアルな服装で、ますます魅力的に見えた。
「おはよう、健太くん。早いね」と彼女は微笑んだ。
「おはよう、由香さん。ちょっと早く来すぎちゃったかも」と俺は少し照れくさそうに答えた。
「大丈夫よ。じゃあ、行こうか?」
最初に向かったのは、カフェだった。カフェではカップルフェアというのをやっていて、パフェが割引になるらしい。由香はパフェが大好きで、そのためにこのカフェを選んだようだ。
「ここのパフェ、すっごく美味しいんだよ。しかも今日はカップルフェアで安くなるの」と由香は楽しそうにメニューを見ながら言った。由香はその瞬間、顔を赤く染めた。
「えっ、カップルフェア?」俺も同じく顔が赤くなる。
「うん、そうみたい。ちょっと恥ずかしいけど、お得だから頼んでみようよ」
「じゃあ、パフェを頼もうか?」と俺が言うと、由香は大きく頷いた。
「うん、健太くんと一緒にパフェを食べるなんて楽しみ!」
パフェが運ばれてくると、由香の目はキラキラと輝いていた。彼女は一口食べるごとに嬉しそうな笑顔を見せ、その姿がとても可愛らしかった。
「本当に美味しいね。君のオススメは間違いないよ」と俺は言った。
「でしょ?健太くんも気に入ってくれて嬉しい」と由香は笑顔で答えた。
カフェでの時間はあっという間に過ぎ、次に向かったのは映画館だった。由香が選んだ映画はロマンチックなコメディで、笑いと感動が絶妙に混ざった作品だった。映画が終わると、二人で感想を話し合いながら次の目的地に向かった。
「映画、面白かったね」と俺が言うと、由香はにっこりと笑って答えた。
「うん、笑いあり涙ありで、本当に楽しかった。健太くんも楽しめたみたいで良かった」
その後、俺たちは渋谷の街をぶらぶら歩きながら、いろんな話をした。彼女の笑顔はずっと絶えず、俺も自然と笑顔がこぼれた。話しているうちに、由香がふと真剣な表情になった。
「ねえ、健太くん。実は今日、君に伝えたいことがあるの」
「何?」
「私、君のことが気になってたんだ」
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