賽銭箱に10,000円奉納した結果がこれ!?

 俺は、モテたいがためにバイトで貯めたお金、「10,000円」を神社に奉納した。

 古びた神社で手入れもされていなくて、草が伸び放題だったけれど、恋愛の神様がいるということで、

 俺は、必死に願い込めた10,000円を賽銭箱へ。


「たのむ、神よおおおおっ」


 賽銭箱にひらりと入っていった10,000円。

 このあとは、賽銭箱が光って神様的なやつが出てきて恋愛運上げてあげるみたいな展開になると思っていたけれどならなかった。

「ほっほほほ、私は恋愛の神様じゃ、そなたこの古い神社によく10,000円なんて奉納しようと思ったな。そのお礼といってはなんだが、そなたの恋愛運を急上昇してやろう。今度くる時は、お茶とせんべいと10,000円を持ってくるのじゃ、わかったな」とかならないかなぁ。


 ならないよね。

 そうだよねー。

 それが普通だよ。


 翌朝、目を覚ますと、まぶしい朝日が部屋に差し込んでいた。普段なら布団の中でぐずぐずしている俺だが、この日は違った。心のどこかで何かが変わる予感がしたのだ。慌ただしく支度を終え、学校へ向かった。


 通学路を歩いていると、何かが違っていることに気づいた。通りを歩く人々が俺をちらちらと見ているのだ。心当たりのない注目に戸惑いながらも、足を進めた。


 学校に到着すると、クラスメイトたちの視線も同じだった。特に、女子たちの目線が鋭く、まるで獲物を狙う猛禽類のようだった。その中でも特に目立ったのは、学校一の美少女、桜井由香だった。彼女はこれまで俺に一度も話しかけたことがなかったが、その日は違った。


 桜井由香は、黒髪のロングヘアが美しい、高校のアイドル的存在だ。彼女の足はスラリと長く、歩くたびに周囲の視線を集める。顔立ちは整っていて、その瞳はまるで宝石のように輝いている。ワイシャツから強調される部分も魅力的で、いつも優雅な笑みを浮かべ、誰からも好かれるような憧れの的だった。


 俺の名前は高橋健太。若干の猫背で、勉強も運動もそこそこ。特に目立つところもなく、身長は平均的で、クラスでは影の薄い存在だ。


「おはよう、えーっと高橋健太くん?」と、突然声をかけられた。

「えっ、俺?」と驚きの声をあげる俺に、美香はにっこりと微笑んだ。

「そうよ、君に。ちょっとお話ししたいことがあるの、ちょっとこっちにきて」と、彼女は俺の手を引いて廊下の隅へと連れて行った。


 クラスメイト男子たちからの殺意を感じる目線


「どうしたの? 急に話しかけてきて」

「昨日、神社で何かお願いごとをしたの?」

「え? どうしてそれを知っているの?」


 由香の顔が一瞬険しくなり、すぐにまた笑顔に戻った。「実はね、私もその神社でお願いをしたの。あそこは恋愛の神様で古くからあるから。そしたら、今日あなたが光って見えたのよ。これは運命かもしれないって思ったの」


「運命?」俺は疑念を抱きながらも、美香の言葉に心が揺れた。彼女の美しい顔立ちと柔らかい声に、自然と引き込まれてしまったのだ。


 その日の放課後、美香と一緒に帰ることになった。


「ちょっと寄り道してもいいかな?」と美香が言った。


「もちろん、どこに行くの?」


「私の家。ちょっと見せたいものがあるの。」


 うそやろ?!


 初めて女の子の家に招かれるなんて予想外だったが、興味津々の俺はすぐに承諾した。


 彼女の家に向かう途中、あーこれは夢に違いない夢ならば覚めたくれと言いたいがこのままでもいいかも、心臓がドキドキと高鳴っていた。美香の家は想像していたよりも大きく、きれいな庭が広がっていた。家の前に立つと、由香は鍵を取り出してドアを開けた。


「どうぞ、入って」と美香が言う。


 靴を脱いで彼女の家に足を踏み入れると、広々としたリビングが目に入った。家具やインテリアは洗練されていて、まるでモデルルームのようだった。


「ここが私の部屋よ」と彼女は俺を案内してくれた。


 彼女の部屋はとても可愛らしく、彼女の趣味が詰まっている感じがした。壁にはアーティストのポスターが貼られ、本棚にはたくさんの本が並んでいた。


「すごいね、綺麗な部屋だ」と俺は感嘆した。

 そして石鹸のいい香りがします。


「ありがとう。座って、リラックスしてね」と美香は言いながら、俺にベッドの端に座るよう促した。


 俺は緊張しながらも、彼女の隣に座った。初めて女の子の部屋に上がるという状況に、心臓がますます速く鼓動を打った。


「ねえ、健太くん。昨日の神社でのことだけど…もう少し詳しく話してくれる?」と彼女が尋ねた。


「うん、実は俺、モテたいがために10,000円を賽銭箱に入れたんだ。何か特別なことが起きるかなって思って」


「えっ?10,000円も?す、す、すごいわね。それで何か変わったことは?」


 なんかひいてない?


「正直、まだ何も…って、いや、今日のことがその証かもしれないね」と言いながら、美香の顔を見つめた。


 彼女は微笑みながら、俺の手を握った。「そうかもしれないわね。私も昨日、同じ神社でお願いしたの。素敵な人に出会えますようにって」


 その瞬間、俺たちの間にある何かが通じ合った気がした。彼女の手の温もりが俺の心にじんわりと広がり、今まで感じたことのない感情が芽生え始めた。


「でも、なんで桜井さんが彼氏を欲しがってるのか、ちょっと意外だったよ。だって、桜井さんみたいな学校一と言われる美少女なら、男子が放っておかないでしょ?」


「そんなことないわ。確かに告白はよくされるけど、どれも本気じゃない感じがするの。それに、私はちゃんと心から信じられる相手が欲しいの。」


 彼女の言葉に俺は共感し、「俺はモテたかったからだよ。だから、神様にお願いしたんだ。」


「そうね。提案なんだけど?お互い、恋愛を応援し合う友達になるというのはどうかな?」と彼女は提案した。


「それはいい考えだ」と俺は同意し、二人で笑顔を交わした。


 俺は学校一の美少女とお友達になることができたのだ。

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