日々の料理は意思表示

わさ

お料理は意思表示

筑前煮けんちん汁に豆ごはんたまにはピザと顔に書いても


手料理に「長生きしよう」隠し味込めて作るよまぁ言わんけど


花曇りロールキャベツの肉チラ見据膳食わぬは男の恥か


「今なんて?地味って言った?あぁ滋味か、それならいいの」「おたまおろして」


今日も呑み会で遅いと目も見ずに背徳隠しスキップをする


桃色のそうめんに似た床の髪梅雨の戻りにうねるくせっ毛


破裂音頬の熱さと耳鳴りで聞こえなかった最後の言葉


信号機みたいに変わる顔色を証拠写真が笑って見てら


好奇の目赤くひりつく俺の頬一足早い紅葉狩りかよ


炭化したパンの真っ黒だけ詰めた足に纏わるキャスターの音


ハンバーグチーズフォンデュにシカゴピザ限界突破ひとりの宴


あなたから口にしたのは最初だけ甘くて後は苦い言の葉


天高く俺肥ゆる秋なんつってビール片手にふとひとりごち


愛情も量り売りなら胃もたれも飢えに彷徨うこともないのに


くたびれた用途不明の調味料お前のさきは俺だと嗤う


秋の日は酸辣湯で汗落としあとマッチングアプリも落とし


レシピ本残り香のする場所を撫ぜ大さじ1の塩水落とし


婚活で自分の生きる指針知る必須質問食の好みで


手料理 文句すら言い食べていたあの優しさに今更気づき


そうでない時もうまいと破顔する新たなひとにほころぶ土鍋

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